宝飾品

30 July, 2026

高い金価格によって金宝飾品の需要は引き続き抑制されています。

  • 本四半期の世界の金宝飾品需要は278トンまで減少し、ワールド ゴールド カウンシルのデータシリーズの中で最も低調な第2四半期の一つとなりました。上半期の需要も前年同期比で大幅に減少しました。 
  • 数量(トン)ベースでは減少しましたが、多くの市場で消費者支出は底堅く推移しており、金額ベースでは多くの市場で増加しました。 
  • 消費者は、より軽量な宝飾品や、古い品と新しい品との交換、そして低プレミアムの投資商品にシフトすることで、高価格環境に適応し続けています。
トン 2025年
第2四半期
2026年
第2四半期
前年同期比
変化率(%)
世界合計 335.3 278.2 -17
  インド 88.8 75.1 -15
  中国本土 69.2 50.0 -28

本四半期、世界の宝飾品需要は引き続き圧力を受け、278トンまで減少しました。これは、高価格がこれまで通り購買能力を抑制し、消費者が購入する重量の減少をもたらしているためです。こうした低迷は広範囲に及んでおり、本四半期も中国とインドが減少分の多くを占めました。

ただし、本四半期には量と金額の乖離も生じました。純金重量ベースで消費者の購入量は減りましたが、支出額ははるかに堅調でした。

この乖離は、上半期全体ではさらに顕著でした。世界の宝飾品需要はトンベースでは弱含みであったものの、金額は今年上半期に860億米ドルまで上昇し、2025年上半期の710億米ドルから前年同期比で22%の増加となりました。これは、高価格によって数量が抑制されているものの、特に貯蓄、贈答、あるいは資産保全手段としての金宝飾品の役割が確立している地域においては、消費者の金への支出は依然として堅調であることを示しています。

消費者は引き続き価格環境に適応しています。多くの市場で軽量商品のシェアが拡大し、アジアの一部では低カラットのデザインが普及しています。古い金商品と新しい金商品との交換も引き続き重要であり、特に中国やインドでは、消費者が金投資を続けながら、手頃な価格での購入を可能にする手段となっています。金投資商品の魅力の高まりも引き続き、宝飾品販売量に対する逆風となりました。特に、プレミアムが低く、税制上の優遇措置で金地金や金貨の魅力が増している地域の場合は顕著でした。

 

図4:金宝飾品の需要量は低迷する一方、需要金額は増加

地域別の四半期宝飾品消費量(トン、米ドル)*

Chart 4: Weaker gold jewellery demand volumes continue to diverge from rising value

Chart 4: Weaker gold jewellery demand volumes continue to diverge from rising value
Quarterly jewellery consumption by region, tonnes and US$ value*
Sources: ICE Benchmark Administration, Metals Focus, World Gold Council; Disclaimer *Data to 30 June 2026

*データは2026年6月30日現在。
出所:ICEベンチマーク・アドミニストレーション、メタルズ・フォーカス、ワールド ゴールド カウンシル

中国

中国の金宝飾品需要は本四半期さらに弱含みとなり、前年同期比28%減と、2004年以降の第2四半期として最低水準となりました。この減少は部分的には季節要因によるものであり、例年、第2四半期は宝飾品の購入が低調になります。ただし、年初から市場を圧迫していた要因、すなわち消費者マインドの低下や、高水準で変動の激しい金価格による買い控えの影響も否定できません。

上半期の需要は前年同期比30%減の136トンでしたが、金額ベースで見た場合、状況はより堅調でした。

金宝飾品に対する消費者支出額は多かったものの、純金重量ベースでの購入量は減少しました。上半期の支出額は11%増の210億米ドルでした。これは、高価格のために消費者が軽量な商品へとシフトしているにもかかわらず、中国においては金宝飾品の人気が根強いことを裏付けています。

依然、制約要因として重要なのは手頃な価格かどうかです。多くの消費者は購入を先延ばしにしたり、古い宝飾品を新しいものと交換したりしました。投資志向の買い手の場合、投資商品に対する付加価値税の優遇措置に背中を押され、宝飾品よりもプレミアムの低い金地金や金貨を選ぶ傾向が引き続き見られました。これが新規の宝飾品需要への圧力を強め、重量のある従来型の商品からのシフトを加速させました。

本四半期、市場の二極化が進みました。手頃な価格とデザインの革新性に支えられ、軽量の硬質純金商品が引き続き好調に推移しました。また、新規ブランドが富裕層をターゲットにする中、伝統的な高級プレミアム商品を巡る競争も激化しました。

今後の見通しとして、下半期は婚礼需要や年末商戦の支出など、季節要因が一定の下支えとなることが見込まれます。しかし、特に金価格が高止まりした場合は、消費者の慎重な姿勢のため、回復は限定的なものにとどまる可能性が高くなります。そうしたなかでも、軽量で革新的、かつ高付加価値の商品に対する需要は、比較的底堅く推移すると思われます。

インド

本四半期、インドの宝飾品需要は前年同期比15%減の75トンとなり、第1四半期の低迷から前四半期比で14%改善しましたが、パンデミック後で最も低調な第2四半期となりました。上半期の需要は前年同期比17%減の141トンでしたが、需要額は前年同期比26%増の210億米ドルとなりました。

本四半期は、対照的な2つの局面によって特徴づけられました。宝飾品需要は、4月のアクシャヤ・トリティーヤと婚礼関連の購入によって支えられたほか、金価格がかつてのピーク値から下がったことも消費者心理の改善に寄与しました。しかし、アディク・マース[.    アディク・マースは、ヒンドゥー暦において金宝飾品の購入には不吉とされる期間(閏月)(2026年は5月17日~6月15日)。]や、輸入関税が6%から15%へと大幅に引き上げられたこと、金購入を控えるよう呼びかけたモディ首相の直接的な訴えなど、金輸入を抑制するための政府の一連の措置により、5月中旬から6月中旬にかけて状況が著しく悪化しました。

消費者は代替商品を介して、高価格への適応を続けました。需要はますます軽量の宝飾品へとシフトして行きましたが、組織化された小売業者は、宝石付きジュエリーや低カラット商品の売上増により利益をあげることができました。こうした傾向は、顧客基盤が都市部の消費者によって構成されている大手チェーン店で特に広く見られました。
組織化された小売チャネルと伝統的な小売チャネルの間の乖離も依然として顕著です。大手小売業者が在庫を拡大して店舗網を広げ続ける一方で、多くの独立系および中堅の宝飾商は、伝統的な22金宝飾品需要の低迷による影響を受けています。しかしながら、金宝飾品に対する消費者の親近感は損なわれていないようで、重量ベースの販売量は減少したものの、支出は底堅く推移しています。

その後、宝石商からは、婚礼シーズンを前に価格下落を機に消費者の購入が進み、7月の販売は好調だとの報告が寄せられています。この季節的な需要は下半期のさらなる支えとなるはずですが、モンスーンと農村部所得の見通しが依然重要な変数となっています。

中東とトルコ

中東の宝飾品需要は、価格の高止まりが引き続き購買力に対する負担となったため、本四半期も低迷が続きました。この地域における地政学的混乱という背景にもかかわらず、価格が以前のピークを下回ったことが一定の支えとなりました。

サウジアラビアは、中東地域で最も堅調なパフォーマンスを示した国の一つです。ハッジ(メッカ巡礼)関連の観光や婚礼需要、イスラムの祝祭であるイード・アル=アドハ関連の購入が、価格要因による低迷を相殺したことで、需要は前年同期比で8%の比較的緩やかな減少にとどまりました。事例報告によると、価格調整によって消費者心理改善したため、5月中旬以降、需要は極めて旺盛に推移しました。

エジプトでは、持続的なインフレと通貨の変動を背景に、需要が前年同期比で14%減少しました。一方、UAEでは14四半期連続で前年同期比の減少を記録しました。また、米ドル建ての需要額が前年同期比で減少した数少ない市場の一つとなりました。UAEは宝飾品需要の源を観光客に依存しているため、イランの紛争によって、来訪する観光客が減り、販売活動が抑制されました。UAEの市場は、価格の下落と在留インド人の需要によっていくらかの支えを得ました。在留インド人の需要は、インドが輸入関税を引き上げたことにより、UAEが価格面で有利になったことで、下半期にはさらに増加する可能性が高くなっています。

イランもまた、地域紛争の影響を強く受けており、経済活動が停滞し、消費者心理が圧迫されています。金宝飾品の売却については、生活費や転居費用を賄うための利用可能な資金源とする見方もありました。

トルコは引き続き圧力を受けており、高いインフレ率と消費者信頼感の低下が需要を抑制しました。それでも、現地プレミアムの低下や現地金価格の調整、本四半期後半の婚礼関連の購入による下支えもあって前四半期比では緩やかな回復となりました。

米国と欧州

本四半期、米国の金宝飾品需要は低迷が続きましたが、金額ベースでは底堅く推移しました。金価格の高騰が引き続き販売数量を抑制しており、消費者の間では、より軽量で低カラットの商品を好む傾向が強まっています。低迷は大衆市場に集中しており、高級宝飾品は底堅い動きを示しました。

欧州の需要も同様の傾向をたどりました。価格高騰が購買力を圧迫し、地域全体の消費が減少しました。イタリアでは消費者需要が地域内で最も大きく減少し(前年同期比19%減)、苦境にある加工セクターは再び輸出市場の低迷に対処せざるを得なくなりました。

 

図5:上半期、アジア全域において、宝飾品から低プレミアムの投資向け金商品への切り替えが顕著な傾向として現れた 

上半期の宝飾品需要および金地金・金貨投資の前年同期比変化率(トン)*

Chart 5: Substitution from jewellery to lower-premium investment gold was a notable trend across Asia during H1

Chart 5: Substitution from jewellery to lower-premium investment gold was a notable trend across Asia during H1
Y/y % change in H1 jewellery demand and bar and coin investment, tonnes*
Sources: Metals Focus, World Gold Council; Disclaimer *Data as of 30 June 2026

*データは2026年6月30日現在。
出所:メタルズ・フォーカス、ワールド ゴールド カウンシル

ASEAN市場

ASEAN市場全体で宝飾品需要は引き続き下押し圧力を受けています。価格高騰が購買力を圧迫し、投資商品への切り替えが促されました。消費者が高価格環境に合わせて購買行動を変化させる中、低カラット宝飾品の市場シェアが地域全体で増大しました。

インドネシアでは、経済状況の厳しさに直面する消費者が低純度の宝飾品へシフトする動きが強まり、前年同期比が13四半期連続でマイナスとなりました。マレーシアでは低カラット商品への長期的シフトが続いた一方、タイでは金価格の変動により消費者心理が冷え込みました。ベトナムは、現地通貨建て価格の高騰が生活費に重くのしかかったため、ASEAN地域で最大の前年同期比の減少(28%減)を記録しました。

その他のアジア太平洋地域

日本は依然として、底堅い宝飾品市場の一つです。需要は軟調が続いたものの、円ベースでの支出は比較的堅調であり、資産性の高い宝飾品は、投資的特性を持つ商品を求める消費者の間で引き続き人気を保ちました。

韓国は明らかに例外的存在であり、宝飾品需要で緩やかな成長(前年同期比6%増)を記録しました。婚礼関連の購入は金価格の調整によるメリットを得ましたが、市場では低カラットで軽量な商品へのシフトが続いており、これが宝飾品セクターの長期的な回復に対する逆風となる可能性があります。

その他の地域では、オーストラリアで価格高騰が裁量的支出を抑制する中、宝飾品需要が世界的傾向と同様に低迷しています。

表2:国別の宝飾品需要(トン)

  2025年
第2四半期
2025年
第3四半期
2025年
第4四半期
2026年
第1四半期
2026年
第2四半期
前四半期比
変化率(%)
前年同期比
変化率(%)
インド 88.8 125.0 145.3 66.1 75.1 14 -15
パキスタン 4.1 3.7 3.9 3.5 3.5 -2 -15
スリランカ 1.2 1.0 0.9 1.1 0.9 -22 -30
中華圏 73.8 90.7 89.0 92.2 55.2 -40 -25
中華人民共和国本土 69.2 84.1 81.9 86.3 50.0 -42 -28
香港特別行政区 3.7 5.8 6.2 4.8 4.3 -10 15
台湾 0.9 0.8 0.9 1.1 0.9 -20 3
日本 3.0 3.3 4.0 3.0 2.2 -24 -25
インドネシア 3.3 3.8 5.4 3.3 3.0 -8 -10
マレーシア 2.5 2.3 2.4 2.9 2.1 -27 -13
シンガポール 1.5 1.4 1.4 1.5 1.4 -8 -7
韓国 2.6 2.5 2.4 3.9 2.8 -28 6
タイ 1.6 2.1 2.3 1.7 1.6 -10 -5
ベトナム 2.5 2.2 2.4 3.0 1.8 -40 -28
オーストラリア 1.1 1.8 2.3 1.3 1.0 -23 -4
中東 39.8 33.4 35.0 33.2 32.2 -3 -19
サウジアラビア 11.2 9.3 9.0 12.7 10.3 -19 -8
UAE 7.7 6.4 7.5 4.7 5.6 17 -28
クウェート 2.7 2.4 2.8 1.8 2.2 19 -19
エジプト 5.7 4.4 5.1 5.2 4.9 -5 -14
イラン 7.3 6.5 5.4 5.0 5.4 9 -26
その他の中東 5.2 4.4 5.1 3.8 3.9 1 -26
トルコ 9.0 7.1 7.7 6.9 7.9 16 -12
ロシア連邦 8.0 10.1 11.0 6.7 7.2 7 -10
米州 40.0 34.5 50.1 20.7 31.0 49 -23
米国 29.7 25.6 36.8 13.4 22.2 65 -25
カナダ 3.0 2.4 4.6 1.6 2.0 21 -35
メキシコ 3.2 3.2 3.7 2.7 3.0 13 -6
ブラジル 4.0 3.3 5.0 3.0 3.8 27 -6
欧州(CISを除く) 13.9 12.0 23.5 8.2 12.5 52 -10
フランス 2.4 2.2 5.0 2.0 2.4 17 -2
ドイツ 2.3 1.9 3.3 0.8 2.0 157 -15
イタリア 3.6 2.5 6.2 1.4 2.9 103 -19
スペイン 2.0 1.9 2.5 1.8 1.9 2 -5
英国 3.6 3.5 6.5 2.1 3.4 57 -7
スイス - - - - - - -
オーストリア - - - - - - -
その他の欧州 - - - - - - -
小計 296.6 336.8 389.0 259.3 241.4 -7 -19
その他・在庫変動 38.7 38.9 45.8 35.0 36.8 5 -5
世界合計 335.3 375.6 434.8 294.2 278.2 -5 -17

出所:メタルズ・フォーカス、リフィニティブGFMS、ICEベンチマーク・アドミニストレーション、ワールド ゴールド カウンシル

脚注

  1. アディク・マースは、ヒンドゥー暦において金宝飾品の購入には不吉とされる期間(閏月)(2026年は5月17日~6月15日)。

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