供給

30 July, 2026

鉱山生産量は緩やかな増加となったものの、総供給量は前年同期比で横ばいとなりました。

  • 本四半期の鉱山生産量は前年同期比2%増の966トンで、第2四半期としての最高記録となりました。
  • 金のリサイクル量は、金価格が前期比で下落したことが主な要因となり、前年同期比で6%減少しました。
  • 本四半期も産金会社による正味のヘッジ解消が続き、産金会社のヘッジポジション残高の合計は、10四半期連続で減少しました。
トン 2025年
第2四半期
2026年
第2四半期
前年同期比
変化率(%)
総供給量 1,268.6 1,268.9 0 -
  鉱山生産量 947.7 965.6 2
  産金会社のネットヘッジ -25.8 -22.8  
  リサイクル金 346.7 326.1 -6

本四半期の金の総供給量は、前年同期比横ばいの1,269トンでした。鉱山生産量が2%増の966トンとなり、2000年まで遡ることのできるワールド ゴールド カウンシルのデータシリーズで、第2四半期としての過去最高を記録しましたが、リサイクル金が前年同期比6%減の326トンとなったことで、ほぼ相殺されました。

ヘッジ残高がある産金会社がヘッジ契約を履行し、あるいはヘッジポジションの組み換えを行った結果、産金会社のヘッジポジション残高(推計値)が減少し、本四半期の総供給量は23トン減少しました。

今年上半期の鉱山生産量は1,867トンと過去最高を記録し、ワールド ゴールド カウンシルのデータシリーズにおける上半期の記録であった2025年上半期の1,808トンを3%上回りました1

 

図10:鉱山生産量 第1四半期に続いて第2四半期も緩やかに増加

年間および上半期の鉱山生産量(トン)*

Chart 10: Mine production saw modest gains in Q2, building on Q1 growth

Chart 10: Mine production saw modest gains in Q2, building on Q1 growth
Annual H1 mine production, tonnes*
Sources: Metals Focus, Refinitiv GFMS, World Gold Council; Disclaimer *Data to 30 June 2026.

*データは2026年6月30日現在。
出所:メタルズ・フォーカス、リフィニティブGFMS、ワールド ゴールド カウンシル

鉱山生産量

本第2四半期の鉱山生産量は、これまでの第2四半期記録であった2025年第2四半期の948トンをおよそ2%上回りました。また、主に季節的要因により前四半期比は7%のプラスとなりました。

本稿公表時点で入手可能なデータによると、本四半期の生産量が大幅に増加したのは以下の国です。

  • カナダ(前年同期比29%増):アグニコ・イーグル社のディトゥア・レイク鉱山など、新規および拡張中の事業の立ち上げが、この大幅な生産増の要因となりました。
  • チリ(前年同期比24%増):ゴールド・フィールズ社のサラレス・ノルテ鉱山が安定生産段階に入ったことや、リオ2社のフェニックス鉱山など新たに稼働したプロジェクトが増加に貢献しました。
  • ブルキナファソ(前年同期比17%増):ウェスト・アフリカン・リソーシズ社のキアカ鉱山や、硬岩生産が初めて第1四半期を通して行われたオレゾーン・ゴールド社のボンボレなど、複数の鉱山で粉砕処理施設の処理量が増加したことによります。
  • ガーナ(前年同期比8%増):ニューモント社のアハフォ・ノース鉱山が引き続き増産となったほか、アサンテ・ゴールド社のビビアニ鉱山など、複数の鉱山で生産量が増加しました。

対照的に、一部の国では、安全性や掘削、地質に関連した要因が重なって、操業に影響が及び、本四半期の生産量が減少しました。

  • ニカラグア(前年同期比33%減):主に、同国におけるエクイノックス・ゴールド社の操業低下によるもので、同社の操業は今年第1四半期に大きく偏っています。
  • メキシコ(前年同期比23%減):ニューモント社のペニャスキート鉱山では、第8操業フェーズへの移行や低品位ストックパイル鉱石の処理のために生産量が減少しました。ペニャスキート鉱山が高品位鉱石の採掘に戻るのは2028年以降と見込まれています。
  • 米国(前年同期比12%減):バリック社のカーリン鉱山を含む多くの鉱山で、採掘順位の影響により鉱山生産量が減少したほか、キンロス社の鉱山でも選鉱場に搬入される鉱石の品位低下により生産量が減少しました。
  • 中国(前年同期比8%減):山東省の鉱山で発生した死亡事故を受けて実施された、安全対策のための操業停止が続いたことが影響しました。

鉱山生産データを提供するメタルズ・フォーカスは、過去10年間の生産量推計値をさらに修正しました。今回の修正は、多数の国でASGM(小規模・零細金採掘)生産のデータが改善したことによるもので、その結果、2013年以降の世界鉱山生産量の累積値が117トン増加しました。メタルズ・フォーカスはASGMデータ収集に投入するリソースを増やしており、より完全なデータが得られるようになり、今後、鉱山生産量の推計値のさらなる修正が行われる可能性があります。

最新の入手可能なデータ(公表までにタイムラグあり)によると、金鉱山業界平均の全維持生産コスト(AISC)は今年第1四半期に過去最高を記録し、前四半期比5%増、前年同期比16%増の1,785米ドル/オンスとなりました。その背景には、ロイヤリティや企業の一般管理費の上昇があります。

今年第1四半期に、中東の紛争に起因するエネルギー価格上昇の最初の兆候が一部の採掘事業で見られましたが、本四半期以降、さらに大きな影響が現れると予想しています。

産金会社のネットヘッジ

今年第1四半期に生産会社全体のヘッジ残高が22トン減少したことを受け、本四半期も推定20トンのヘッジ解消が行われたと考えられます。現在のスポット価格を大きく下回る価格で契約された過去のヘッジ契約が、多くの事業者の利益率に打撃を与えています。そのため、一部の鉱山会社はアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のポジションの組み換えを行っており、先渡し契約をプットオプションに転換する事例も見られます。

メタルズ・フォーカスは、新たに入手した情報に基づき、過去5年間の金総生産量に対するヘッジの寄与に関する過去の推計値を修正しました。例えば、オーストラリアで金採掘に関わっているある民間企業は、企業再編の過程で、それまで知られていなかった大規模なヘッジポジションを明らかにしました。

 

図11:アジア市場のリサイクルが鈍化 欧米市場では緩やかに増加 

四半期ごとの地域別リサイクル金供給量(トン)*

Chart 11: Recycling activity in Asian markets subsided, while Western flows saw mild growth

Chart 11: Recycling activity in Asian markets subsided, while Western flows saw mild growth
Quarterly supply of recycled gold by region, tonnes*
Sources: ICE Benchmark Administration, Metals Focus, World Gold Council; Disclaimer *Data to 30 June 2026.

*データは2026年6月30日現在。
出所:ICEベンチマーク・アドミニストレーション、メタルズ・フォーカス、ワールド ゴールド カウンシル

リサイクル金

本四半期の金リサイクル量は326トンに減少しました(前年同期比6%減、前四半期比13%減)。これは、第1四半期に見られた複数の過去最高値から金価格が調整したためです。本四半期の減少は、中東の紛争による混乱が緩和されたり、第1四半期に欧州で(北米でも小規模ながら)リサイクルを抑制していた供給能力の制約が軽減されたりするなど、リサイクルにとって好ましい市場環境であったにもかかわらず発生しました。

国および地域レベルのデータを見ると、一つの傾向が明確に浮かび上がってきます。本四半期、新興市場でのリサイクル量が急減した一方で、欧州および北米での動きははるかに底堅く推移したことです。

本四半期、以下の傾向が確認されました。

  • インドのリサイクルは急減し、前年同期比17%減、前四半期比38%減となりました。この減少は、金価格の下落と下取り比率の上昇によるものです。つまり、宝飾品の購入者は、古い品を下取りに出すことで、少なくとも新品購入の資金の一部を賄っているのです。金宝飾品の下取りは供給量に実質的な影響を与えないため、リサイクル供給のデータには含まれません。
  • 中国では、リサイクル量が前年同期比で15%、前四半期比では19%それぞれ減少しました。中国の場合、宝飾品販売に対する7%の付加価値税(VAT)の導入が、引き続きリサイクルに影響を及ぼしています。購入者は、古い金宝飾品を下取りに出すことにより、この新VATによる負担のかなりの部分を相殺することができます。この結果、将来的には、古い金宝飾品のリサイクル供給が減少し、古い金宝飾品を下取りに出して新品と交換する動きが増加する可能性があります。
  • 本四半期の中東のリサイクル供給は低調でした(前年同期比13%減、前四半期比11%減)。イランとの紛争によるリサイクルの混乱は、特に一部の民間航空便が再開されたこともあり、本四半期の間に幾分落ち着きを取り戻したと見られますが、域内全体で前年同期比および前四半期比でリサイクル量が減少しており、価格の下落が地域全体の行動に影響を及ぼしたことが示されています。
  • 欧州のリサイクルは前年同期比で9%増加しましたが、前四半期比では2%減少しました。今年第1四半期には精錬所の処理能力や資金調達といった問題により、古い宝飾品の買い手が制約を受けていたため、本四半期はその反動のが可能性があります。一方、欧州における古い金宝飾品のリサイクルは過去数年間堅調に推移しており、これは同地域の経済が比較的低調であることに関連している可能性があります。
  • 米国では本四半期、リサイクル量が増加し、前年同期比5%増、前四半期比3%増となりました。欧州同様、これは今年第1四半期に起きた処理能力の低下からの反動の可能性があります。

本四半期のリサイクルの傾向は、金価格の短期的な変化、すなわち前四半期比の変化の方が、前年同期比の比較よりも重要であるというワールド ゴールド カウンシルの見解を裏付けるものです。本第2四半期の平均金価格は前四半期比で7%下落し、リサイクル量は6%減少しました。本四半期の金価格は前年同期比で37%上昇しましたが、その比較期間においてリサイクル量の増加にはつながりませんでした。実際、リサイクル量は前年同期比で13%減少しました。

エネルギー価格の上昇をはじめ、インフレの加速や失業の増加を示す兆候は、今のところ、生活の困窮を理由とする消費者の金売却の広がりを引き起こしていません。事例証拠では、金保有者は価格の回復を期待しているか、あるいは通貨が弱い国々では、金が今後の経済的混乱から身を守る助けになると考えていることが示されています。ワールド ゴールド カウンシルの年間のリサイクル供給の見通しについては、「今後 の見通し」セセクションをご覧ください。

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