本四半期の投資需要(OTCを除く)は、金価格同様、低迷しました。
- OTCを除く本四半期の投資需要は、金ETFが流出に転じたことと、金地金・金貨需要が鈍化したことにより、262トンまで減少しました。
- 金地金・金貨の購入は、2025年第2四半期および長期平均水準と概ね同等でしたが、例外的な高水準だった第1四半期の477トンは大きく下回りました。
- 本四半期、OTCによる金購入は、特にアジアにおける強い需要を反映して、好調だった第1四半期を上回る水準まで急増しました。
30 July, 2026
| トン | 2025年 第2四半期 |
2026年 第2四半期 |
前年同期比 変化率(%) |
|
| 投資 | 486.8 | 262.2 | -46 | |
| 金地金・金貨 | 315.6 | 307.1 | -3 | |
| インド | 46.1 | 50.3 | 9 | |
| 中国:本土 | 115.1 | 107.2 | -7 | |
| 金ETF | 171.1 | -44.8 | - | |
本四半期、OTCを除く投資需要は262トンに減少しました。減少の主な要因は、金地金・金貨の購入が概ね安定していた一方で、ETFが前年同期比で小幅な流出に転じたことでした。これは、金価格の過去最高値からの調整が起きたことや、短期的な価格期待が弱まったことによって、過去2四半期に見られた非常に強いモメンタムからの転換が生じたことを示しています。
この価格調整ならびに調整局面において、投資家はより慎重な姿勢を取るようになり、一部の市場における金利上昇の可能性によってその慎重さにさらに拍車がかかりました。投資家は総じて金を戦略的資産とする見方を維持しており、本四半期を通じて押し目買いの動きが見られました。
OTC取引および在庫変動などの把握が困難な投資需要(統計上の残差を含む)は本四半期、327トンでした。上方修正された第1四半期の数値(244トン)を加えると、この需要カテゴリーの上半期累計は571トンというかなり大きな数値になります。
OTC需要は直接観測できませんが、米国先物市場における投機的投資家のポジションは一定の参考となります。マネーマネージャーが保有するネットロングポジションは4月下旬から着実に増加しており、金価格が1月下旬にピークに達して以降見られなかった水準に達しています。
事例報告によると、OTC需要の多くは世界中に分散していたのではなく、アジア市場に集中していたとみられます。これは、ここ数四半期において、実態を把握しやすい投資チャネル(金地金・金貨、ETF)全体でアジアの投資家の存在感が高まっていることと整合的です。
本四半期、金を裏付けとするETFは、6月の大量売却のおかげで流出超に転じました。本四半期、世界の保有量は45トン減少し、上半期の増加幅は18トンまで縮小しました。本四半期の流出は6月に集中しており、同月だけで世界の投資家は保有量を74トン減らしています。
金額ベースでは、本四半期の流出は合計40億米ドルに達し、上半期の流入は80億米ドルまで減少しました。6月末時点の世界の運用資産残高(AUM)は合計で5,260億米ドルに減少しました。上半期のトンベース保有量がわずかに増加した中で、この減少は主に金価格の下落が引き起こしたものです。
本第2四半期に、地域別傾向に顕著な変化がありました。北米の上場ファンドが売りを主導し、本四半期中に45トン、上半期では61トン削減しましたが、これは同地域にとって2013年以来、最も低調な上半期となりました。主な引き金となったのは価格の下落でしたが、連邦準備制度理事会(FRB)の新議長によるタカ派的な発言や、米国とイランの紛争に関連したインフレ懸念、実質利回りの上昇、米ドル高といった要因のすべてが、金保有の機会費用を押し上げました。
アジアは6月に過去最大の月間流出を記録したにもかかわらず、上半期を通じて最も力強い地域でした。アジアの上場ファンドは上半期、70トン(上半期として過去最高)の増加を達成しましたが、本四半期は15トンの減少となりました。これは、中国の投資家が価格モメンタムの弱まりを背景に、金からより堅調な現地株式市場へと資金をシフトさせたためです。日本のファンドも日本銀行の利上げを受けて、本四半期は流出になりました。インドのファンドは、現地投資家が価格調整を絶好の買い機会ととらえたことから、地域内では例外的に堅調で、本四半期、4トンの増加を記録しました。
欧州は、上場ファンドが6月に一部減少したものの、本四半期、需要増(16トン)を記録した唯一の地域となり、上半期の地域需要は、8トン(30億米ドル)の流入超となりました。なかでも本四半期、英国は17トンの需要増となり、フロー増加分の多くを占めましたが、その理由は不透明な国内政治にあった可能性があります。対照的に、スイスとフランスは本四半期、小幅な流出になりました。流出は6月に集中しており、少なくとも一部は欧州中央銀行(ECB)による0.25%の利上げへの反応であったと考えられます。
その他の地域の上場ファンドは本第2四半期に1トン(1億7,300万米ドル)の小幅な流出を記録し、上半期としては1億600万米ドルで、わずかな流入となりました。本四半期の流出ではオーストラリアのファンドが主因であり、1トン(1億3,900万米ドル)の減少となりました。
本第2四半期の終盤にかけては軟調ではあったものの、上半期全体としては緩やかな増加を達成しました。世界の金ETF保有量は上半期に18トン増加しました。アジアにおける流入(70トン)が地域別の状況をけん引し、欧州も堅調な買い(8トン)に寄与しましたが、北米は上半期に流出(61トン)を記録した唯一の地域となりました。このことは、ETF需要が年初の好調なスタートを経て第2四半期になり、急速に冷え込んだものの、上半期全体で見られたプラスの傾向が完全に打ち消されたわけではないことを示しています。
世界の金地金・金貨投資は前年同期比で概ね横ばいでしたが、極めて好調だった第1四半期からは大幅に減少しました(36%減)。それでも、上半期の需要は784トンと、上半期として過去最高水準に近い力強い結果となりました。本四半期の大幅な減少は、2025年第4四半期および2026年第1四半期の異例ともいえる活発な動きを経て、投資が平常化したことによるものです。本四半期、需要は長期的傾向と一致する水準に戻りました。2020年第4四半期から2025年第3四半期までの5年間における四半期平均の金地金・金貨購入量は305トンです。
トンベースの需要は前年同期比でほとんど変わりがありませんでしたが、金価格の上昇により、金地金・金貨投資額は前年同期の333億米ドルから445億米ドルに増加しました。
前四半期比での減少は多くの市場で見られ、2四半期続いた異常に好調な動きの後、通常の購入パターンに戻ったことを示しています。こうした文脈においては、本第2四半期の弱さは、基礎となる投資需要の悪化ではなく、高水準からの正常化と見ることができます。前年上半期との比較では、ベトナムやイラン、オーストラリア、スイスといった一部の例外を除き、ほとんどの市場で概ねプラスとなっています。
中国は依然として世界最大の金地金・金貨市場です。本四半期の需要は107トンに達しましたが、第1四半期の記録的な207トンからは減少し、また前年同期比も7%減となりました。それでも本四半期は長期的視点から見ると堅調であり、投資家の金に対する旺盛な意欲を裏付けるとともに、上半期需要は314トンと過去最高を記録しました。
市場の不確実性が高まったことに投資家が反応した結果、4月の買いが最も活発となりました。5月は価格変動の激化によって時折、動きが鈍くなりましたが、6月には価格調整が押し目買いを促し、回復しました。
需要を支える主な要因は、依然、変化はありません。安全な避難先という動機、低水準の国内金利、(緩やかな反発は見られるものの)低迷する不動産セクター、さらに経済見通しに対する懸念が、引き続き投資需要を支えています。中国人民銀行による継続的な金購入も、国内投資家の金に対する信頼を強固なものにしています。
中国の付加価値税(VAT)改革は、引き続き追い風となっています。投資商品が相変わらず免税対象となっていることから、以前であれば投資目的で宝飾品を購入していた消費者が、金地金や金貨、純金積立商品を選択するようになりました。
また、銀行が提供する商品で、現物の金と連動しながら売買機能を備えている金積立プラン(GAPs)に対する根強い需要も確認されています。
今後、需要は比較的底堅く推移する見通しです。価格変動の拡大時期は買いが一時的に手控えられることがありますが、金投資は依然として、不確実性の高まりや低い債券利回り、魅力的な代替投資機会の不足によって、しっかりと支えられています。また金価格の持続的な調整があれば、購入意欲が新たに喚起されることもあるでしょう。
インドの金地金・金貨投資は前年同期比9%増の50トンとなりました。需要が第1四半期の高水準からは低下したものの、上半期需要は113トンに達し、2013年以降で最も好調な上半期となりました。
買いの動きは4月中旬のアクシャヤ・トリティーヤの頃が最も活発でしたが、その後、価格上昇が一服し、金価格が調整局面に入ると買いは鈍化しました。短期的な価格見通しに対する不確実性が新たな需要を抑制しました。また、金に対する輸入関税の引き上げや、金購入の抑制を目的とした政府のメッセージも大きな障壁となりました。
とはいえ、多くの投資家が金に対する前向きな期待を失うことはありませんでした。また、6月中旬に現地通貨建て価格が心理的な節目である10グラムあたり15万ルピーを下回ったことは、重要な買い機会であることを示唆し、本四半期後半、取引が活発化しました。そのことは、6月に回復したオンライン金商品に対する需要にも反映されています。
インドの金需要の見通しは依然、価格とモンスーンに密接に関わっています。7月中旬時点の累積降雨量は平年を大幅に下回っており、下半期の需要に対する潜在的なリスクを示唆しています。ただし、現地通貨建て価格が比較的安定して推移すれば、こうしたリスクをある程度相殺し、市場を下支えする可能性があります。
本四半期、中東では、地域の地政学的リスクが安全な避難先としての買いを支え、期後半の価格調整が安値買いを促したため、投資需要は比較的安定していました。
サウジアラビアの需要は4トンと堅調で、価格上昇への期待から5月と6月には買いが活発化しました。
アラブ首長国連邦(UAE)における投資は大幅に増加しました(30%増)。金地金・金貨の需要は、安全な避難先としての買いに加え、UAEでの金購入の魅力を相対的に高めたインドの輸入関税の急激な引き上げによる恩恵を受けました。
対照的に、イランの需要は、戦争が投資活動を抑制したため、好調であった2025年第2四半期からは大きく低下しました。
トルコは依然として世界有数の現物投資市場であり、本四半期の金地金・金貨需要は19トンに達しましたが、高水準であった第1四半期に比べると大幅な減少となりました。根強いインフレとマクロ経済の不確実性が、価値の保全手段としての金の魅力を引き続き支えています。
第1四半期の急激な調整後の金価格の反発を受けて投資家による買いが入ったため、4月の需要が最大となりました。その後、6月まで小康状態が続き、価格調整が進んで1オンス=4,000米ドルとなったことで、安値買いのために投資家が市場に戻ってきました。
米国と欧州の市場において、投資需要は異なる傾向を示しました。米国の金地金・金貨の購入(14トン)は前年同期比では増加したものの、第1四半期に比べると大幅な減少となりました。投資家は、地政学的緊張が高まる中で金価格の上昇が見られなかったことに失望しました。レンジ相場が続いたことが大きな逆風となり、その間も安値買いの動きを除けば需要は限定的でした。売りに関しても、第1四半期と比較すると低調でした。
対照的に、欧州のリテール投資は、本四半期の金価格調整を受けて投資家がより慎重な姿勢をとったため、急激に減少しました。欧州の需要は、高水準の売却が続いて、新たに作られた商品への需要が抑制されたため、2024年第3四半期以来の低水準まで落ち込みました。
ASEAN市場では、投資が第1四半期の異例の高水準から正常化したことによる前四半期比の急激な調整があったものの、前年同期比は概ね健全な伸びを示しました。
インドネシアは本四半期も世界で最も好調な市場の一つであり、投資需要は前年同期比40%増の15トンとなりました。通貨安と国内経済の見通しに対する懸念から、価値の保存手段としての金の役割が改めて強く認識されました。インドネシア政府は今年初め、国内の金地金エコシステムを強化し、金セクターの下流開発を支援することを目的とした戦略的イニシアチブである金地金システムロードマップを策定し、金に関する積極的な計画を正式表明しました。
タイは、金の現地通貨建て価格の調整が安値買いを促したことで、2019年以来最も好調な第2四半期を記録しました。市場関係者は、金貯蓄口座への強い関心のほか、若い投資家の参入が増加していると述べています。
対照的に、ベトナムの需要は、現地通貨建て価格の下落が市場心理を冷え込ませ、輸入割当制限が市場環境を歪めたことから、現地通貨建て価格のプレミアムが高止まりし、需要が抑え込まれました。マレーシアは、輸入金地金に影響を与える規制変更による不確実性があるにもかかわらず、基調は底堅さを維持しています。
韓国は、前四半期比こそ大幅に減少したものの、比較対象である前年同期が低水準だったことで堅調な成長を維持しました。本四半期を通して金価格が調整局面を迎えたことで、投資家の関心は次第に、活況を呈する国内株式市場へと移っていきました。
日本では本四半期、金のパフォーマンスが低調だったことを受けて売り越しに転じ、小幅な売却に留まった前年同期と比べて減少幅が大きく拡大しました。
6月には一部で安値買いが見られましたが、新規購入の増加分は、金価格に対する期待を引き下げた投資家による換金売りによって十分相殺されました。
オーストラリアは世界で最も低調な市場の一つでした。投資需要は1トンまで落ち込み、ワールド ゴールド カウンシルのデータシリーズでは、四半期として最低水準となりました。この減少は、価格の下落、利益確定売りの増加、さらには上半期の0.75%の利上げに伴う金保有の機会費用の増大を反映しています。
本四半期は順調な滑り出しとなりましたが、金価格の下落が続き、投資家が利息を生む資産を好むようになるにつれて、5月から6月にかけて買いが急激に鈍化しました。
| 2025年 第2四半期 |
2025年 第3四半期 |
2025年 第4四半期 |
2026年 第1四半期 |
2026年 第2四半期 |
前四半期比 変化率(%) |
前年同期比 変化率(%) |
|
| インド | 46.1 | 91.6 | 96.0 | 62.3 | 50.3 | -19 | 9 |
| パキスタン | 4.8 | 4.3 | 5.4 | 6.7 | 5.0 | -25 | 5 |
| スリランカ | - | - | - | - | - | - | - |
| 中華圏 | 118.3 | 76.6 | 122.7 | 210.7 | 109.9 | -48 | -7 |
| 中華人民共和国本土 | 115.1 | 73.7 | 118.7 | 206.9 | 107.2 | -48 | -7 |
| 香港特別行政区 | 0.8 | 1.0 | 0.6 | 0.2 | 0.2 | 14 | -68 |
| 台湾 | 2.4 | 1.9 | 3.4 | 3.6 | 2.4 | -32 | 1 |
| 日本 | -0.3 | 1.0 | 3.1 | 2.4 | -2.7 | - | - |
| インドネシア | 10.4 | 17.7 | 11.7 | 23.6 | 14.5 | -38 | 40 |
| マレーシア | 2.0 | 2.1 | 3.7 | 3.8 | 2.5 | -34 | 28 |
| シンガポール | 2.2 | 1.8 | 3.3 | 3.5 | 2.3 | -34 | 6 |
| 韓国 | 5.3 | 5.9 | 11.5 | 12.5 | 6.6 | -47 | 24 |
| タイ | 10.0 | 15.1 | 18.9 | 10.0 | 10.9 | 9 | 10 |
| ベトナム | 9.5 | 7.7 | 7.0 | 9.1 | 6.5 | -28 | -31 |
| オーストラリア | 3.6 | 3.2 | 5.2 | 4.0 | 1.5 | -63 | -59 |
| 中東 | 31.0 | 28.3 | 30.6 | 26.4 | 27.2 | 3 | -12 |
| サウジアラビア | 3.4 | 4.5 | 5.3 | 5.1 | 4.2 | -18 | 23 |
| UAE | 4.1 | 3.4 | 4.2 | 4.0 | 5.3 | 34 | 30 |
| クウェート | 1.9 | 1.5 | 1.9 | 1.8 | 2.4 | 34 | 25 |
| エジプト | 5.9 | 5.6 | 7.4 | 5.7 | 6.2 | 9 | 6 |
| イラン | 13.1 | 11.4 | 9.1 | 7.3 | 6.2 | -15 | -53 |
| その他の中東 | 2.6 | 2.0 | 2.7 | 2.6 | 2.9 | 12 | 14 |
| トルコ | 15.3 | 14.3 | 21.3 | 26.1 | 19.5 | -25 | 27 |
| ロシア連邦 | 8.5 | 9.5 | 9.9 | 11.3 | 9.3 | -18 | 10 |
| 米州 | 13.7 | 16.0 | 25.6 | 21.2 | 15.6 | -26 | 14 |
| 米国 | 10.8 | 13.5 | 21.4 | 17.4 | 13.8 | -20 | 28 |
| カナダ | 2.3 | 1.8 | 3.4 | 3.1 | 1.1 | -66 | -54 |
| メキシコ | 0.1 | 0.1 | 0.2 | 0.3 | 0.3 | 0 | 84 |
| ブラジル | 0.4 | 0.5 | 0.6 | 0.5 | 0.5 | -5 | 18 |
| 欧州(CISを除く) | 29.8 | 29.5 | 41.7 | 40.9 | 21.7 | -47 | -27 |
| フランス | -0.3 | 0.1 | 2.5 | 1.9 | -0.6 | - | - |
| ドイツ | 10.9 | 9.8 | 13.6 | 12.3 | 8.5 | -31 | -22 |
| イタリア | - | - | - | - | - | - | - |
| スペイン | - | - | - | - | - | - | - |
| 英国 | 3.2 | 4.2 | 6.8 | 6.0 | 3.0 | -50 | -8 |
| スイス | 6.3 | 6.0 | 6.9 | 7.9 | 2.8 | -65.0 | -55.9 |
| オーストリア | 0.9 | 1.2 | 1.4 | 1.7 | 1.2 | -26.8 | 42.7 |
| その他の欧州 | 8.8 | 8.2 | 10.6 | 11.1 | 6.9 | -37.5 | -21.9 |
| 小計 | 310.1 | 324.6 | 417.5 | 474.7 | 300.8 | -37 | -3 |
| その他・在庫変動 | 5.5 | 3.9 | 10.6 | 2.1 | 6.3 | 196 | 14 |
| 世界合計 | 315.6 | 328.4 | 428.1 | 476.8 | 307.1 | -36 | -3 |
出所:メタルズ・フォーカス、リフィニティブGFMS、ICEベンチマーク・アドミニストレーション、ワールド ゴールド カウンシル