エレクトロニクス需要はAI関連需要に支えられて底堅く推移しましたが、金価格上昇は消費材セクター需要の重石となりました。
- 産業用途の金需要は前年同期比2%増の80トンと若干の増加となりました。
- エレクトロニクス需要は、AIインフラや高性能半導体、先端電子部品向け需要に支えられ、前年同期比4%増の68トンとなりました。
- その他の産業用途の需要は、金価格の高騰によって代替材料への切り替えが進み、金を使用することが必須ではない用途での使用量が減ったことで減少しました。
30 July, 2026
| トン | 2025年 第2四半期 |
2026年 第2四半期 |
前年同期比 変化率(%) |
|
| テクノロジー | 78.6 | 80.4 | 2 | |
| エレクトロニクス | 65.8 | 68.3 | 4 | |
| その他の産業用途 | 10.8 | 10.1 | -7 | |
| 歯科用途 | 2.1 | 1.9 | -6 | |
第1四半期に確認された状況が再び見られ、エレクトロニクス分野における金の使用の二極化が続いています。AIインフラへの大規模な投資が、主にメモリのコスト高騰に起因するスマートフォンやノートパソコンの出荷台数の減少を相殺しました。金価格の高騰により、多くの低価格帯・中価格帯製品では、金の使用量削減や代替材料への切り替えが進み、従来型の家電製品の一部では使用量がさらに削減されました。
本四半期のエレクトロニクス分野の金需要は前年同期比で4%増加し、68トンでした。AIインフラからの需要は、高性能電子機器市場の成長を牽引しており、多くのメーカーは、これらの商品に対する、旺盛な需要への対応に追われています。世界最大のチップメーカーである台湾積体電路製造(TSMC)は、本四半期の純利益が77%増の220億米ドルとなり、アジアで最も価値のある企業となったこと、また米国において1,000億米ドルを投じて生産施設の拡張工事を行うことを発表しました1。アジアの他の地域でも力強い成長が報告されており、中国や韓国の多くの製造施設は、AIインフラ需要に対応するために高い稼働率での操業を続けています。
対照的に、民生用電子機器の需要は、メモリ不足や原油価格の高騰、輸送コストの上昇が重なって、すでに苦境にあった同セクターにさらなる圧力がかかったことで、減少を続けています。例えば、大手データ分析グループであるIDCは、2026年のスマートフォン出荷台数が過去最高の下げ幅を記録して、約14%の減少になるとの予測を示しています2。
今年上半期、市場の明確かつ継続的な二極化が見られましたが、この傾向は年内いっぱい続く可能性が高いと考えられます。
ワイヤレスや化合物半導体に使用される金は全体的に増加しました。無線周波数モジュールに対する堅調な需要や、電気自動車(EV)およびAIデータセンター向け部品の需要増に加え、WiFi 7の急速な普及が続いています。さらに、低軌道(LEO)衛星や4Dイメージングセンサーの着実な拡大も報告されています。これらの先端電子機器は、高い耐熱性や信頼性基準を満たさなければならないため、他の多くの商業用機器よりも高度な金属化技術を必要とし、そのため金が標準的な材料として使用されています。
本四半期、自動車用インテリジェント照明システムの急増が報告され、LED分野における金の使用量が若干増加しました。特に車両のヘッドランプやテールランプへの高出力外部照明装置の採用が広まったことで、EVや高級車セグメントでの拡大が続いています。自動車用途においては、特に高温・高振動環境における厳しい信頼性要件のため、金製のワイヤや金スズ合金製の接合材料が業界標準として使用されています。その他の分野では、高機能センサーやハイエンドウェアラブル端末が金需要を下支えしています。しかし、一般的な民生用バックライト市場の低迷が続いていることで、最近の数四半期で見られた需要の二極化傾向がさらに強まりました。
プリント基板(PCB)に使用される金の需要も増加しましたが、最終用途市場では二極化が続いています。貴金属の消費は、高性能AIサーバー用マザーボードやIC基板、LEO衛星用高周波PCBなどが需要を押し上げた一方で、標準的な民生用PCBに使用される金は、部品コストの高騰によってハードウェアの出荷が抑制されているため、減少傾向にあります。メーカーは金価格の高止まりに対応するため、金の使用量を削減する機会を模索し続けていますが、現時点では、完全な代替よりも、限定的で精密な使用量削減の方が有効な選択肢となっているようです。今後の見通しとして、PCBセクター全体の金需要は、ハイエンドのAIシステムや衛星システムの堅調な成長に支えられ、引き続きプラス基調を維持するでしょう。
本四半期、メモリおよび半導体セクターにおける金需要は、AI関連用途の継続的な成長にけん引され、再び大幅な増加となりました。メーカーはこのセクターへの供給を優先していますが、供給能力の制約により高性能メモリチップの不足が続き、急速な価格上昇の一因となりました。従来のワイヤボンディングは、厳しいコスト圧力に直面するメーカーが使用量削減を積極的に推し進めているため、引き続き圧力を受けています。しかし、AI関連用途からの需要急増がこれらの減少分を十分に補い、メモリおよび半導体セクター全体の堅調な成長を支えています。この構造的な変化は、今後数四半期は続くものと予想され、金需要を継続的に支えることになるでしょう。
その他の産業用途や装飾用途(主に金メッキ品や宝飾品、インドの伝統衣装に使用される金糸)に使用される金は、金価格の高止まりが需要の減少を招き、7%減の10トンとなりました。その結果、このセクターの前年同期比は9四半期連続で減少となりました。歯科分野における金の使用量も減少が続き、代替材料であるセラミックへの移行が続いたことを背景に、さらに6%減の2トンとなりました。