2026年第1四半期は鉱山生産量とリサイクルが増加し、総供給量は2%増加しました。
- 今期の鉱山生産量は前年同期比2%増の885トンで、第1四半期の最高記録となりました。
- 金のリサイクル量は、金価格の上昇を受けて古い宝飾品の売却が活発化したことから、前年同期比で5%増加しました。
- 今期も産金会社の正味のヘッジ解消が続き、産金会社のヘッジポジション正味残高の合計は、9四半期連続で減少しました。
29 April, 2026
| トン | 2025年 第1四半期 |
2026年 第1四半期 |
前年比変化率 (%) |
|
| 総供給量 | 1,205.0 | 1,230.9 | 2 |
|
| 鉱山生産量 | 863.6 | 884.7 | 2 |
|
| 産金会社のネットヘッジ | -7.0 | -19.7 | - | - |
| リサイクル金 | 348.5 | 366.0 | 5 |
|
今期の金の総供給量は、前年同期比で2%増加し、1,231トンでした。鉱山生産量が2%増の885トン(2000年までさかのぼるワールド ゴールド カウンシルのデータの中で第1四半期としては過去最高)、リサイクルが前年同期比5%増の366トンに達したことが、その原動力となりました。
産金会社のヘッジポジション正味残高の合計は減少したと推計されており、今期の総供給量は20トン減少しました。減少幅は2025年第1四半期を上回りました。
通常通り、供給データの基本要素には将来的に修正が入る可能性があります。生産量とヘッジに関しては、四半期報告をまだ発表していない産金会社があること、リサイクルに関しては、記録的な金価格の高騰を受けて取引やリサイクル活動の正確な測定作業が困難になっていることが、その理由です。
鉱山生産量
今期の鉱山生産量は、従来の第1四半期記録であった2023年第1四半期の871トンを約2%上回りました。しかし前四半期比では、主に通常の季節的変動の影響で、生産量は9%減となりました。
本稿公表時点で入手可能なデータに基づくと、第1四半期の生産量が顕著に増加したのは以下の国でした。
これとは対照的に、いくつかの国では、掘削や地質に関する要因が重なってオペレーションに打撃を与え、第1四半期の生産量が減少しました。
すべての上場企業が2025年の年間生産量の報告を終えたため、同年のトレンドを完全に評価できるようになりました。2025年の金生産量は、前年比2%増の3,815トンとなり、過去最高記録を更新しました。ガーナ(34トン増、22%増)、ロシア(15トン増、5%増)、チリ(12トン増、33%増)、カナダ(10トン増、5%増)で生産量の大幅な増加が見られた一方、インドネシア(36トン減、26%減)とマリ(17トン減、17%減)は2024年と比べて大幅な減産となりました。
鉱山生産データを提供するメタルズ・フォーカスは、過去10年間の生産量推計値を大幅に修正しました。この修正は、複数の国でASGM生産のデータが改善したことによるもので、その結果、2015年以降の累積鉱山生産量は621トン増加しました。メタルズ・フォーカスはASGMデータの収集に投入するリソースを増やしており、より完全なデータが得られるようになれば、今後の四半期に鉱山生産量の推計値がさらに修正される可能性があります。
2025年第4四半期の金鉱業の全維持生産コスト(AISC)の平均値は、入手可能な最新データに基づくと前年比20%上昇し、過去最高の1,706米ドル/オンスに達しました。運営コストの上昇、持続的な設備投資の増加、金の販売量の減少に加えて、金価格に連動するロイヤルティ支払いも、急速な上昇の要因となりました。なお、金価格自体も前年同期比で55%上昇しています 1。
産金会社のネットヘッジ
2025年第4四半期の生産者ヘッジポジション正味残高の合計は118トンに減少しました。前四半期比では24トン減、前年同期比では74トン減となりました。ワールド ゴールド カウンシルでは、2026年第1四半期もヘッジ解消が続き、生産者のヘッジポジション正味残高の合計がさらに20トン減少したと推定しています。現在のスポット価格を大きく下回る価格で契約された過去のヘッジ契約が、多くのオペレーションで利益率に打撃を与えています。そのため、一部の鉱山会社はアウトオブザマネーに陥ったポジションの再編を行っており、場合によっては先物販売契約をプットオプションに転換しています。
今期は、負債による資金調達に関連した新規ヘッジもいくつか報告されました。しかし、投資家は金のスポット価格の高さを最大限に活用することを好む傾向があり、全体的なヘッジ活動は限定的な状況が続きそうです。
リサイクル金
第1四半期の金のリサイクル量は、金価格が何度も最高値を更新したことを受けて、366トンまで増加しました(前年同期比5%増、前四半期比で横ばい)。中東地域では米国・イスラエルとイランの紛争に起因する物流問題、欧州と北米では処理能力の制約によるリサイクル回収活動の停滞によってリサイクル量が減少したため、これらがなければ、さらに増加していたはずです。
第1四半期には以下のトレンドが確認されました。
過去1年間における世界の金価格の異例の上昇幅が、今期のリサイクル供給量を緩やかに押し上げたと思われます。そして、この流れは今後の数四半期でさらに加速する可能性があります。特に銀価格に大幅な調整が入ったことを考えると、リサイクルや精錬の処理能力のボトルネックは時間の経過とともに緩和されるでしょう。そして中東では代替輸送ルートが確立される可能性があります。また、一部の市場では現地通貨の下落を受けた投げ売りがさらに増えると予想されます。一方、エネルギー(および肥料)価格の上昇も、一部の市場では投げ売りの重要な動機になる可能性があります。例えば、米国の質屋で取引が増加しているという報告もすでに確認されています。
ワールド ゴールド カウンシルの年間のリサイクル供給の見通しについては、「今後の見通し」セクションをご覧ください。