世界的なAIインフラの導入が、引き続き金の産業需要を支えました。
- 第1四半期に産業用途で使用された金は、前年同期比1%増の82トンでした。
- 産業用途の金の使用量が最も多いエレクトロニクス分野が、前年同期比3%増の69トンと2021年第4四半期以来の高水準となり、このセクターの伸びを牽引しました。
- 産業用途のその他の分野では、金価格の上昇を受けて使用量が減少しました。
29 April, 2026
| トン | 2025年 第1四半期 |
2026年 第1四半期 |
前年同期比 変化率(%) |
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| テクノロジー | 80.4 | 81.6 | 1 |
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| エレクトロニクス | 67.1 | 69.3 | 3 |
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| その他の産業用途 | 11.3 | 10.4 | -8 |
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| 歯科用途 | 2.1 | 2.0 | -7 |
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エレクトロニクス分野の金の使用状況は、依然として二極化しています。AIインフラの急拡大により、信頼性と性能の優れたチップの需要が高まりました。この種の用途では、コストの問題よりも技術的仕様が優先されます。一方、価格に敏感な家電製品市場の製造業者は、過去最高値を更新する金価格を踏まえて、金使用の削減または代替の努力を続けました。
第1四半期のエレクトロニクス分野の金需要は前年同期比で3%増加し、69トンでした。AIインフラ向けの需要が世界的に堅調さを維持しました。これを追い風として、世界最大の半導体メーカーである台湾積体電路製造(TSMC)の3月の売上高は前月比30%増となりました1。しかし高騰する金価格がこれを相殺し、家電製品の出荷および販売に悪影響を及ぼしました。例えばメモリ価格は前四半期比でほぼ2倍となっており、コストを押し上げるとともに、消費者の購買力を低下させました。
地域によってパフォーマンスはまちまちでした。中国本土(5%増)は、地政学的リスクが継続する中でも、国内サプライチェーンの拡大によって着実な成長を維持しました。韓国(7%増)は、メモリ生産量の多さと加工施設稼働率の高さにより、予想を上回りました。台湾(9%増)はAI関連需要の恩恵を受けましたが、日本(1%減)は金使用の削減や代替の圧力を受けた家電製品市場の比率が比較的高いことから、わずかに減少しました。米国(6%増)は、国内のAIおよびEV向け半導体サプライチェーンへの投資の効果が現れ始めました。一方欧州(3%減)は、製造業および消費者需要の低迷が影響して停滞しました。
第1四半期のLED分野の金需要は微減しました。一般照明などの従来市場における価格圧力や構造的変化の影響は、ミニLEDやマイクロLED、自動車照明、UV LEDといった高級用途の成長によって大部分が相殺されました。高い性能と信頼性が求められる用途では、金への依存が続いています。超高純度のワイヤやはんだは性能特性が優れており、依然として必要不可欠です。
ワイヤレスおよび化合物半導体分野の金使用量も増加しました。Wi-Fi 7の展開、パワーアンプの普及、自動車やAIデータセンターにおける先進的な電力モジュールの利用拡大が、これらの分野の金需要を支え続けました。さらに、より高度で熱耐性に優れたコンポーネントを必要とする、LEO衛星、車載用LiDAR、より高速な光通信といった分野も需要を支えました。
継続的なテクノロジーのアップグレードも、デバイスにおける金使用量の増加を後押ししています。例えばAIサーバーや車載用パワーモジュールでは、大量に発生する熱を放散したり、信頼性と製品寿命を確保したりするために、より多くの金が必要です。その結果、先進的な用途の比率が拡大したことにより、需要の強化と多様化が進むとともに、従来の家電製品分野の需要変動に対するセクターの耐性が高まっています。
メモリおよび半導体セクターの金需要は第1四半期に力強く増加しました。AIサーバーの出荷増加、サーバー1台当たりのメモリ性能要件の大幅な上昇、さらにAI対応PCやモバイル機器の普及が、DRAMおよびNANDの需要を支えています。従来の金ワイヤは低価格帯の用途において代替圧力にさらされています。その一方で、AIブームにより、先端用途の高純度の金の需要が引き続き押し上げられています。全体として、これは従来用途の減少を相殺するのに十分であり、成長する高性能半導体製造分野における金の役割の重要性がさらに高まっています。
今期、プリント基板(PCB)に使用される金は増加しましたが、最終的に使用される市場によって引き続き二極化が見られました。AI関連の基板、LEO衛星、EVエレクトロニクスの好調さが、メモリコストの上昇に打撃を受けた従来型PCBの不振を相殺しました。それと同時に、金価格の上昇を受けて、メッキの薄膜化や選択的なメッキ使用といった効率化が加速し、パラジウムのメッキ前処理剤の使用も拡大しました。
その他の産業および装飾用途(主に金メッキ製品や、インドの伝統衣装に使用される金糸)の金使用量は、金価格の高騰によって需要が減少したため前年同期比で8%落ち込み、10トンとなりました。歯科用途での金使用量は、セラミックの代替品への置き換えが続いていることから、ワールド ゴールド カウンシルのデータにおいて初めて2トンを下回りました。
TSMC March 2026 Revenue Report | 10 April 2026.