テクノロジー

29 January, 2026

今第4四半期、テクノロジー部門の金需要はほぼ横ばいの82トンで、年間需要は323トンでした。

  • 今期、エレクトロニクス部門で使用された金は、前年同期比変わらずの69トンでした。
  • その他の産業用途で使用された金は、前年同期比7%マイナスの11トンとなりました。
  • 引き続き増加したAI関連エレクトロニクスに対する需要が、従来型家電製品の継続的変動によって相殺され、需要全体としては安定的に推移しました。
トン 2024 2025 前年同期比
変化率(%)
テクノロジー 326.2 322.8 -1
エレクトロニクス 270.8 270.4 0
その他の産業用途 46.5 44.2 -5
歯科用途 8.9 8.2 -7

テクノロジー部門の金需要は、第4四半期に安定していたことで、1年間としてはほぼ横ばいとなりました。AIブームは、(この分野で需要が最も大きい)エレクトロニクス部門における金需要を引き続き押し上げ、高速コンピューティングによってボンディングワイヤやコンタクト、相互接続材料の使用が増大しました。

ただしAIブームの結果、製造能力がAI関連需要を満たすために振り向けられるようになり、一部の部品の生産が事実上中断し、価格が上昇したことから、他のエレクトロニクス部門との間で緊張と格差が生じています。そのため、2025年初めに回復の遅れと関税による不確実性という問題に直面していた家電製品部門が不安定になり、下半期には在庫不足と価格急騰に直面する結果となりました。こうした状況は2026年においても、需要に対して影響を及ぼす可能性があります。

エレクトロニクス分野の大手調査会社カウンターポイントリサーチによると、スマートフォンの出荷台数は2025年に2%増加したものの、メモリ不足と価格上昇により2026年には減少すると予測されています1。同様に、2025年上半期は安定的に推移したPCおよびノートPC市場も、下半期になるとコスト上昇の影響を受けるようになり、2026年には出荷量への圧力が生じてくることが予想されています。2

金価格の上昇は部品メーカーにとっては絶え間のない圧力となります。現地調査では、すべての分野で金使用量の節減と代替材料に関する研究開発が増えていることが判明しました。

エレクトロニクス

今第4四半期、エレクトロニクス部門の金需要は69トンの横ばいで、年間需要も270トンと安定していました。成長モメンタムは、主要生産国間で大きく異なりました。東アジアでは、強力なAIサプライチェーンとローカリゼーション戦略に支えられ、比較的堅調に推移しました。対照的に、西アジア市場では加工が減少し、市場全体のパフォーマンスが抑制されました。

今期、発光ダイオード(LED)部門では、一般照明や標準ディスプレイなど従来の大量市場向けアプリケーションの低迷により、金使用量が若干減少しました。これまでの四半期報告で取り上げたように、メーカーがコスト削減に努める中で、これらの分野では(一般に、金の使用量が少なく、場合によっては金をまったく必要としない)ミニLEDやマイクロLEDなどの新技術のシェアが拡大を続けています。ただし、金の需要を支えたのは、光通信や先進的ドライバーシステム、3Dプリンティング、栽培用照明などの新しい、ハイエンドで、ニッチなアプリケーションでした。

今第4四半期、ワイヤレス用途では金の使用量が増加しました。ノートPCやスマートフォンのメーカーが在庫の補充を始めたことで、パワーアンプ(PA)やWiFiチップの注文が再び増加し、サプライチェーン全体の稼働率が大幅に向上しました。それを補完したのが、AIをはじめ、航空宇宙、電気自動車/ハイブリッド自動車システム、ウェアラブル端末/スマートフォン用センシング技術などの分野において、化合物半導体技術を積極的に導入してきたメーカーでした3。ワイヤレス業界における新テクノロジー主導の成長段階の始まりを示すこの変化は今後、従来の家電製品市場の変動に対する耐性を高めることになるでしょう。

今期、メモリ/半導体部門の金需要は小幅の増加となりました。この成長のカギとなったのは、AIインフラの急激な成長と家電製品のアップグレードの広がりです。実際、AIアプリケーションによる旺盛な需要により、DRAMやNANDの容量に対して大きなプレッシャーがかかり、今年メモリ価格は2倍以上上昇しました。IDCグローバルによると、「デバイスメーカーとエンドユーザーに連鎖的影響を及ぼす、前例のないメモリチップ不足は、2027年まで続く可能性がある。AIデータセンターによる需要が供給を上回り続け、需給バランスが崩れていることから、DRAMの価格が大幅に上昇している」4とのことです。

今後、この需給の不均衡は家電製品市場に大きな影響を与え、価格上昇を招き、デバイスのリードタイムが長くなる可能性があります。

今第4四半期に、プリント基板(PCB)に使用された金は前年同期比で増加しました。これまで同様、AIサーバーがPCBの成長の中核領域であり、出荷量を増大させ、インフラのアップグレードにおける使用の拡大に貢献しています。さらに、低軌道衛星(LEOS)通信部門では、高密度相互接続(HDI)ボードの受注が大幅に増加しました。安定的なスマートフォン/PC市場における季節的需要増と相まって、HDI出荷はここ数年の実績を上回りました。

ただし、ハイエンド製品の割合が増加したことで金の消費量は増加しており、またサプライチェーンでは、金価格の高騰によるコスト増に対する取り組みが進められています。収益性を維持するため、PCBメーカーは節減対策を加速させ、代替材料の模索を進めているとの報告がありました。こうしたコスト管理策は、ある程度、製品仕様のアップグレードによる利益を相殺することになります。

総計レベルでは、世界の主要エレクトロニクス製品加工拠点4ヵ国のうち2ヵ国が、第4四半期に金需要の若干増を記録しました。中国本土と香港特別行政区は20.1トン(1.8%)、韓国は6.6トン(5.2%)でしたが、日本は18.8トン(-1.3%)、米国は16.7トン(-4.1%)と、いずれもわずかに減少しました。

その他の産業用途と歯科用途

今期、その他の産業用途による金需要は前年同期比で7%減となりました。中国の国内景気低迷によってめっきソルトの需要が落ち込み、相次ぐ小売店の閉鎖によって金メッキ製品の需要が減少しました。インドでも、金価格の急騰を受けてジャリ (伝統衣装に使用される金糸)の需要が低下しました。これは7四半期連続の前年同期比マイナスであり、2年連続の減少です。歯科用途に使用された金も、引き続き代替材料の使用が増加したことで、前年同期比6%の減少となりました。

脚注

  1. 化合物半導体とはガリウムやヒ素など複数の元素を組み合わせて作られる半導体で、シリコンなどの単⼀元素で作られる従来型半導体とは異なる。化合物半導体に使われる元素にはユニークな特性があり、⾼出⼒や光を⾼速度で、効率的に、トラブルなしに扱うことができるため、電気⾃動⾞をはじめ 5G ネットワーク、最新型センサーなどの先進テクノロジーに⽋かせないものとなっている。

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