前進か、後退か

金にとって2025年は、史上最高値を50回以上記録し、60%を超えるリターンを達成するなど目覚ましい一年となりました1。そのパフォーマンスを下支えしたのは、地政学的不確実性と経済的不確実性の高まり、米ドル安、そしてポジティブな価格モメンタムでした。投資家と中央銀行は共に、金に対する配分を増加させることで、分散と安定性の向上に努めました。

2026年の展望は、進行中の地理経済学的な不確実性の影響を受けることになります。金価格はおおむねマクロ経済的コンセンサス予想を反映するものであり、現在の状況が継続すれば、レンジ相場が続く可能性があります。しかし今年1年を振り返ると、来年も想定外の出来事が引き続き起こることが考えられます。経済成長が停滞し、金利がさらに下がることになれば、金価格が緩やかに上昇することはあり得ます。グローバルリスクが高まることで経済の低迷が一層深刻化すれば、金価格が大きく上昇する可能性があります。逆に、トランプ政権の政策が功を奏した場合は経済成長が加速し、地政学的リスクも低下して、金利上昇やドル高をもたらし、金価格の低下を招きます。

中央銀行の需要や金のリサイクル傾向といった他の要因も市場に影響を及ぼすことが考えられます。中でも重要なのが、変動が続く市場においては、ポートフォリオの分散手段や安定化要因としての金の役割が引き続きカギとなる点です。

 

図1:市場の変動や地理経済学的リスクが引き続き金価格を上昇させる一方で、リスクプレミアムの低下は金のパフォーマンスに下振れ圧力をかける可能性あり

仮定のマクロ経済シナリオに基づいた2026年金パフォーマンス予想*

Outlook 2026: Chart 1 [JP]

出所: ブルームバーグ, ICEベンチマーク・アドミニストレーション, オックスフォード・エコノミクス, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

* 2025年11月28日時点のLBMA金価格午後決め値(米ドル建て)に基づいた過去データ変動範囲は価格予測ではなく、ワールド ゴールド カウンシルのゴールド・バリュエーション・フレームワークに基づき、可能性のあるシナリオの結果を仮説によって図示したものである。「マクロコンセンサス(Macro consensus)」は-5%~5%の範囲を示唆する。「シャロースリップ(Shallow slip)」は5%~15%の上昇の可能性を示唆する。「ドゥームループ(Doom loop)」は15%~30%の上昇の可能性を示唆する。「リフレの復活(Reflation return)」は5%~20%の下落の可能性を示唆する。2025年11月の平均LBMA金価格を基準とする。詳細については、表2を参照。

驚くべき金価格の高騰

11月末までに史上最高値を50回以上更新し、60%超のリターン2を生み出したことで、金は2025年において最高のパフォーマンスを達成した資産の一つとなりました (図2)。

金の年間リターンを1971年3以降で4番目の高さへと押し上げた今回の価格上昇は複数の要因によって引き起こされたものです。

マクロレベルでは、2つの点が重要です。

  • 過熱した地政学的・地理経済学的状況
  • 米ドルの全般的な弱さと小幅な金利低下

このような環境から、債券利回りが低下し、株式市場が過熱気味であることが懸念される中で、ポートフォリオの分散化を求める動きが広がっています。

こうした背景と金のパフォーマンスが好調に推移していることに支えられ、世界中で投資需要が急増しました

同時に、過去3年間の記録的需要には届かないものの、平均をはるかに上回る中央銀行の活発な購入が続いています。

 

図2:2025年の取引高でトップに立った金

金および主要資産クラスの年初来リターン(米ドル建て)*

Outlook 2026: Chart 2 [JP]

出所: ブルームバーグ, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

*データは2025年11月28日現在。使用した指標:ブルームバーグ・バークレイズ・グローバル国債(米国を除く)、ブルームバーグ・バークレイズ米国債総合指数、ICE BofA米国3か月短期国債、ニューフロンティア・グローバル機関ポートフォリオ指数、MSCIワールド(米国トータルリターンインデックスを除く)、ブルームバーグ商品トータルリターンインデックス、MSCI EMトータルリターンインデックス、LBMA金価格午後決め値(米ドル建て)、MSCI米国トータルリターンインデックス。対象期間における金のリターンは60.6%であったが、図には60%と略記した。

図3および表1に要約を示したワールド ゴールド カウンシルの金リターン帰属モデル(GRAM)は、主に地政学的リスクに起因する高リスク環境によって、金の年初来リターンの内およそ12%が生じたことを示しています。さらに、米ドル安と金利が小幅に低下したことによって生じた機会費用の減少も10%貢献しました。

上記2つの要因の中で、地政学的リスクの高まりと米ドル安とを合わせた影響は約16%を占めました。これは、トランプ大統領の2期目における政治とマクロ経済の不確実性が、これまでの金価格の動きに大きく影響していることを明確に示しています。

さらに、価格モメンタムと投資家のポジショニングにより9%、経済成長により10%の貢献がありました。

 

図3:金価格を上昇させたのは地政学的リスク、ドル安、投資フロー

GRAMによる金の月別リターンの主要要因*

Outlook 2026: Chart 3 [JP]

出所: ブルームバーグ, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

*データは2025年11月28日現在。ワールド ゴールド カウンシルの金リターン帰属モデル(GRAM)は、金価格月次リターンについての複合的な回帰モデルであり、金のパフォーマンスを動かす要因を、経済成長、リスクと不確実性、機会コスト、モメンタムというテーマ別の4つのカテゴリーに分類している。ここに示した結果は、月次データを使用した5年間の推計期間を対象とした分析に基づいている。代替推計期間およびデータ取得頻度は、Goldhub.comで確認できる。

とりわけ今年は、金の動きに関係する4つの主要要因の貢献度が異常なほど拮抗していました(表1)。つまり、市場は単一の触媒によってではなく、さまざまな力によって動かされていることを示しています。そうは言うものの、モメンタムが果たす役割は過去数年に比べると大きくなっており、金価格が力強く上昇したことが幅広く投資家の関心を集めていることを考えると、決して驚くべきことではありません。

表1:4つの主要要因によってほぼ同じ動きをする金価格 

金価格を動かす主要要因による年別リターン貢献度(%)*

カテゴリー 測定基準 2025年 2024年 2023年
リスクと不確実性 GPRリスク 8 3 1
その他 4 2 2
機会費用 為替リスク 8 5 2
その他 2 2 2
モメンタム 9 3 2
経済成長 10 5 3
小計 41 20 12
その他の要因** 20 6 3
金トータルリターン 61 26 15

*データは2025年11月28日現在。四捨五入のため、個々の数字を足しても合計と一致しない場合がある。数字の単位は%で、年ごとの金のリターンに対する貢献割合を表す。金リターン帰属モデル(GRAM)の詳細については、図3を参照。
**データの可用性(中央銀行の購入量など)、過渡的影響、分析の限界により、モデルに含まれないその他の要因。
出所:ワールド ゴールド カウンシル

2026年の予想

2026年に目を向けると、市場はおおむね現状維持を織り込んでいるものの、地理経済学的要因が大きく影響するマクロデータの乖離により、不確実性は依然として高いままです。米国労働市場の悪化に対する懸念が強まる一方で、インフレ率は高止まり状態が続くのか、あるいは新たな上振れ圧力に直面することになるのかを巡る議論が続いています。同時に、ある程度の進展はあったものの、地政学的緊張は依然続いています。

それは、金にとって何を意味するのでしょうか?今年同様、解放の日(Liberation Day)のような予期せぬ出来事は予測不可能です。しかし、テールリスクがその性質上予測不能であっても、その発生頻度が高まっていることは確かです(図44。こうした展開によって、リスクオンやリスクオフのセンチメントが生じるかどうかが、全資産クラスのパフォーマンスや、戦略的分散投資手段としての金の役割を形成する上で決定的な役割を果たす可能性があります。

 

図4:増加するテールリスクイベント

S&P 500尖度・歪度指数*

Outlook 2026: Chart 4 NEW [JP]

出所: ブルームバーグ, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

*データは2025年11月28日現在。尖度が高いほど、株価の変動が大きいことを示す。歪度(アウトオブザマネーのプットの価格)が高いほど、テールリスクが大きいことを示す。

マクロコンセンサスが教えてくれること

現在の金価格は、経済成長やインフレ、金融政策に関係する、マクロコンセンサス予想を色濃く反映しています5

これは、市場コンセンサス変数を入力した際の当社のゴールド・バリュエーション・フレームワークが示すレンジバウンド・パフォーマンスによって捉えられています(表2)。すなわち、

  • 世界のGDP成長率は安定しており、おおむねトレンドに沿って推移します(実質的前年同期比2.7%~2.8%)。
  • FRBによる追加利下げは75bps前後で、コアCPI/PCEは年末までに約40~60bps低下します。
  • 米ドルは小幅の上昇で、利回りはほぼ横ばいとなります。

しかし、歴史が示すように、マクロ経済が市場コンセンサスが指し示すパスを辿ることはほとんどありません。

そこでワールド ゴールド カウンシルでは、金価格を緩やかに上昇させる条件(シャロースリップ)、大幅に上昇させる条件(ドゥームループ)、そして顕著な引き戻し(リフレの復活)を促す条件を分析しました。

シャロースリップ

米国の経済データには良いデータと悪いデータが混在していますが、市場関係者が懸念しているのはモメンタムの低下です。リスク選好度が低下すると、ディフェンシブ資産へとポジションが移ります。

特にAI銘柄は主要指数で大きなウェイトを占めており、市場ボラティリティを増幅させ、さらなるリスク低減を促すことから、このような環境では、AIへの期待の見直しが株式市場への新たな下押し要因となる可能性があります。

その結果、史上最高だった利益率が下がり、米国労働市場の軟化が始まり、そのために消費者活動が低迷し、世界経済の成長が広い範囲で減速する可能性があります。

このような背景から、FRBは、経済の不確実性の高まりやインフレ抑制への期待に応じるために政策を緩和し、現在の予想以上の金利引き下げを実施する可能性があります。

金が受ける影響:穏やかな上げ相場

低金利とドル安にリスク回避の気運が加わることで、金にとって引き続きサポーティブな環境になるでしょう。

ワールド ゴールド カウンシルの分析によると、このような環境においては、2026年に金価格が現在の水準から5%~15%上昇する可能性があり6、それを左右するのは経済減速の度合いや、利下げのスピードおよび規模です7

例年であれば良好なリターンでしょうが、2025年の好調なパフォーマンスの翌年であることを考えると、十分注目に値する成果と言えるでしょう。

金利低下とドル安 - いずれの要因も循環的には依然として高水準にあります(図5- の組み合わせは歴史的に見ると、金価格を下支えする要因となってきました。

さらに、中央銀行による戦略的購入の継続や、中国の保険会社やインドの年金ファンドといった潜在的投資家の新規参入は8、比較的良好な経済環境が続いた場合でも、金の強気トレンドをさらに支える可能性があります。

 

図5:実質金利と米ドルは循環的に高水準を維持

米ドルREERと米国10年物TIP利回り*

Outlook 2026: Chart 5 NEW - [JP]

出所: ブルームバーグ, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

*データは2025年11月21日現在。REERは、CITI実質実効為替レートという広範な米ドル指数を表す。横線は第1四分位数、第2四分位数、第3四分位数を表す。

ドゥームループ

地政学的リスクと地理経済学的リスクの増大によって9、世界経済がより深刻で同期的な減速に陥る可能性はゼロではありません。貿易を巡る緊張や、未解決の地域紛争、あるいは新たな火種によって信頼が損なわれ、世界経済に大きな負荷がかかるおそれがあります。こうした圧力は、より分断された国際環境を招き、貿易と投資にかかわるリスク感応度を高めることになるでしょう。

信頼が薄れると、企業は投資を控え、家庭は支出を抑えるようになり、景気後退をさらに進行させる自己増幅型の「ドゥームループ」(悪循環)を生じさせます。米国の経済成長は一段と鈍化し、インフレ率は目標を下回り、FRBは大幅な利下げを迫られることになります。長期金利は急速に下がり、政策緩和に伴ってドル安となり、世界貿易の低迷と幅広い商品価格の下落につながります。

金が受ける影響:上げ相場

利回りの低下、地政学的ストレスの高まり、安全資産への顕著な逃避が一体になることで、金にとっては非常に頼もしい追い風となり、価格の急激な上昇を下支えすることになるでしょう。このシナリオでは、金は2026年に現在の水準から15%~30%急騰する可能性があります。10

特に金ETFを介した投資需要は引き続き重要な原動力となり、宝飾品やテクノロジーなど他の市場分野の弱さをカバーすることになるでしょう。

歴史的に見ると、価格の上昇は投資家の関心を呼び起こし、モメンタムを加速させてきました。世界の金ETFでは、年初来770億米ドルの流入があり、運用残高は700トン以上増加しました11。起点をさらに2024年5月まで戻した場合でも、金ETFの総運用残高は約850トン増加することになります。この数字は、これまでの金価格の上昇サイクルで見られた数字の半分以下であり、成長の余地が十分残されています(図6)。

 

図6:過去のサイクルに比べると少ない状態が続く、現在の金の上げ相場における投資フロー 

世界の金ETF運用残高と総資金フロー*

Outlook 2026: Chart 6 NEW [JP]

出所: ブルームバーグ, ICEベンチマーク・アドミニストレーション, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

*データは2025年11月28日現在。金ETF | ワールド ゴールド カウンシルを参照。

リフレの復活

その一方で、トランプ政権の政策が成功し、財政刺激策による予想を上回る成長が実現することもあり得ます。

このような情勢下ではリフレーションが常態化することも考えられ、その結果、経済活動が活性化し、世界経済の成長が堅調な軌道へと押し上げられることになります。インフレ圧力が高まれば、FRBは2026年に、金利の維持または引き上げを余儀なくされるでしょう。

そうなると、長期金利は上昇し、米ドルが強くなります。利回りの上昇と通貨高は、金保有の機会費用を増加させ、資金を米国資産へ呼び戻します。景況感が改善すれば、幅広いリスクオンローテーションが促進されることになるでしょう。 

金が受ける影響:下げ相場

利回りの上昇やドル高、リスクオンポジショニングへの移行は、金にとっては重しとして働き、投資家の関心の顕著な低下を促すことになります。ヘッジの解消やリテール需要の減少によって、状況は間違いなくネガティブになり、現行レベルの5%~20%の範囲で金の価格調整が起こることになります12

投資家が株式や利回りが高い資産へと移行していくにつれ、金ETFの運用残高は流出が続く可能性があります。流出規模は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降主要な要因となった金のリスクプレミアムの縮小に応じて決まることになるでしょう。

しかし歴史的分析によれば、消費者や長期投資家による機会主義的な購入がこのような環境では緩衝材として働く可能性があることも示されています。

総合すると、機会費用の上昇やリスクオンの心理、ネガティブな価格モメンタムが重なり、金にとって厳しい状況を生み出す可能性があり、それがワールド ゴールド カウンシルの見通しの中で最も弱気なシナリオとなった理由です。

ワイルドカード 

上記のシナリオ以外にも、中央銀行の需要とリサイクル供給は顕著なワイルドカード(不確定要素)です。いくつかの理由から、これらの要因はワールド ゴールド カウンシルが長年行ってきた定量的モデリングに取り入れてきませんでしたが、金市場への影響力は大きなものがあります。

中央銀行の需要は依然、金のパフォーマンスにとって重要な要因です。公的セクターの購入は堅調であり、今後も中央銀行が買い続けると予測することができる十分な理由があります。

 

図7:先進諸国をはるかに下回る新興国市場の金準備高

総外貨準備高に占める金の割合*

Outlook 2026: Chart 7 NEW - [JP]

出所: ICEベンチマーク・アドミニストレーション, IMF, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

* 2025年9月30日時点のIMF集計データに基づく。Goldhub.comを参照。

新興国市場の金準備高は、需要の主たる源泉であるにもかかわらず、先進諸国をはるかに下回る水準にあります(図7)。地政学的緊張が高まれば、新興国による買いが増加し、金の構造的な下支え要因として強まる可能性があります。

 

図8:金のパフォーマンスにとって重要な要因となってきた中央銀行の需要

中央銀行の年間実需と推定年間需要*

Outlook 2026: Chart 8 NEW, FINAL! [JP]

出所: メタルズ・フォーカス, リフィニティブGFMS, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

*2025年のデータは同年第3四半期時点。青いエラーバーは、2025年通期の推計値である750トン~900トンを表している。2026年に関しては、紫色のエラーバーが、マクロ経済や政策上の推進要因に依存する中央銀行需要の通年予測幅を表している。

ただし、中央銀行の金購入にかかわる意思決定プロセスは、市場状況だけというよりも、政策に左右されることの方が多くなっています。購入量がコロナ禍前の水準まであるいはそれ以下に大幅に減少すると、金にとっては新たな逆風となる可能性があります(図8)。

リサイクルのフローも、状況に大きく影響する要因になるかもしれません。金価格の上昇や経済成長の影響などの要因を考慮に入れても、リサイクルは今年、比較的低調でした。この現象は、金が融資の担保に用いられることが大幅に増加したことと関係します。

インドでは、今年1年で公式セクターを通じて、消費者が担保として差し入れた金宝飾品は200トン以上に達しました図9)。また事例報告では、非公式セクターでもほぼ同じ規模で、金を担保とする融資が行われたことが示されています。

リサイクルの低調が続き、代わりに金が担保として使われていけば、価格は引き続き下支えされるでしょう。しかし、インドで顕著な経済減速が生じれば、担保として差し入れた金を強制的に売却する動きを促し、二次供給を増加させ、価格に対する圧力となる可能性があります。インド経済に関しては広範囲に及ぶ明るい見通しがあるものの、ドゥームループシナリオのような深刻な世界経済の減速が発生すれば、波及効果が生じる恐れがあります。

 

図9:増加する金を担保とする融資

インドで担保として差し入れられた金宝飾品の推定量と世界のリサイクル供給量(四半期別)*

Outlook 2026: Chart 9 NEW - [JP]

出所: ICEベンチマーク・アドミニストレーション, メタルズ・フォーカス, RBI, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

*データは2025年9月30日現在。ワールド ゴールド カウンシルでは、インド準備銀行のデータに基づき、銀行と銀行以外の金融機関(NBFC)が担保として受け取った金宝飾品の量を推計した。

結論

2026年の金の見通しは、現在投資家が直面する不確実な経済環境によって形作られています。そして、2025年と同様、来年も金融市場全体に大きな変動をもたらす可能性があります。

現在の金価格は概ねマクロ経済のコンセンサスを反映し、レンジバウンド・パフォーマンスを示唆しています。しかし、ワールド ゴールド カウンシルの分析によれば、成長の鈍化や緩和的な金融政策、持続的な地政学的リスクといった要因は、金の価値を下げるのではなく、むしろ支える可能性が高い。

さらに、今年のパフォーマンスにおいて極めて重要な役割を果たしてきた金投資には、まだ成長の余地があります。

弱気シナリオの可能性はあるものの、現在の地理経済学的動向の予測が困難であることから、投資家は金へのエクスポージャーを一定程度維持する可能性があります。

投資需要に加え、中央銀行やリサイクルも追加的な下支え要因になりえます。ただし、特定の条件下では逆風要因にもなりえます。

最終的には、起こりうる結果の多様性がシナリオに基づくプランニングの重要性を浮き彫りにします。ショックやサプライズが常態化する世界において、金の分散効果と下振れリスク保護機能は、これまでと同様に重要な役割を果たし続けます。

表2:資産としての金の役割に影響を及ぼす要因に対する金の反応

仮説マクロ経済シナリオが示唆する2026年の金パフォーマンス*

経済シナリオ 現在のコンセンサス シャロースリップ ドゥームループ リフレの復活
機会費用 現在3.75%~4.00%
75bps下落
現在3.75%~4.00%
120bps下落
現在3.75%~4.00%
175bps下落
現在3.75%~4.00%
25bps~50bps上昇
機会費用 10年債利回り:安定 10年債利回り:30~40bps下落 10年債利回り:100bps超下落 10年債利回り:20bps以上上昇
米ドル:若干上昇 米ドル:横ばいないし下落 米ドル:下振れ圧力 米ドル:大幅な上昇
経済成長 安定した傾向のグローバル成長 世界経済の成長がやや減速 世界経済の成長が大幅に減速 強力なリフレーション、世界経済が3%成長
リスクと不確実性 インフレ横ばい インフレ率が約30bps低下 インフレ率が2%未満まで低下 インフレ率が1%超上昇
中立的なリスクポジショニング リスクオフポジショニング 幅広いリスクオフポジショニング リスクオンポジショニング
地政学的リスクが高まるも安定する 地政学的リスクが急激に高まった後、下がる 地政学的リスクが急激に高まる 地政学的リスクが下がる
モメンタム コモディティ横ばい コモディティ下落 広範なコモディティ売却 コモディティのリバウンド
正味の金投資ポジショニングの若干の巻き戻し 正味の金投資ポジショニングの増加 正味の金投資ポジショニングの大幅な増加 正味の金投資ポジショニングの顕著な減少
金のパフォーマンス予測 レンジバウンド 緩やかな上昇 上昇 下落
カラーキー(金への影響) ネガティブ   ニュートラル   ポジティブ

*データは2025年11月28日現在。ブルームバーグ・コンセンサス予想、現行市場価格、オックスフォード・エコノミクス予測、過去のパフォーマンスに基づいて作成された仮説シナリオ。ゴールド・バリュエーション・フレームワークが予想した平均価格に基づく、金パフォーマンスへの影響
出所:ブルームバーグ、オックスフォード・エコノミクス、ワールド ゴールド カウンシル

Footnotes:

12025年11月28日時点のLBMA金価格午後決め値に基づいた場合、金価格は60.6%の上昇となる。

2025年11月28日現在のLBMA 金価格(午後)に基づくと、金は60.6%上昇。

31971年を起点としたのは、金本位制が終わり、金が再び自由に取り引きできる資産となった年であることが理由である(Why 1971?を参照)。

4ブラックロック社が、将来の世界の政治的・経済的関係に影響を及ぼす可能性のある10の潜在的リスクを明確に示した。詳しくは、右記を参照:Geopolitical Risk Dashboard | BlackRock Investment Institute

5オックスフォード・エコノミクスから提供されたマクロコンセンサスデータ。

6詳細については、図1を参照。 

7表2に示されている入力に基づいて、ゴールド・バリュエーション・フレームワークが予想したパフォーマンス。

8 India’s pension regulator plans to widen investment options for better returns, chairperson says, ロイター、2025年9月

9Probability of US Recession Predicted by Treasury Spread, ニューヨーク連邦準備銀行、2025年11月

10詳細については、図1表2を参照。

112025年11月30日時点の参考値。金ETF | ワールド ゴールド カウンシルを参照。

12詳細については、図1表2を参照。

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