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Sectors: Investment

新たな 10 年、新たな課題

新しい10 年の始まりを迎えて、日本が抱えるマクロ経済的な課題は古いものも新しいものも含めて増え続けています。例えば以下のような課題です。

  • 公的債務の GDP 比が 238%と極めて高いために、今後の経済成長率が制限され、貯蓄や投資の余地が縮小する可能性がある
  • 好ましくない人口構成も、増加する社会保障費用に対する政府の財源確保を困難にする
  • 超低金利/マイナス金利が、投資家の目を評価額が割高なリスク資産に向けさせてきた
  • 地政学的な緊張、世界の経済成長の見通しのばらつき、資産の変動幅の拡大など、金融市場の不確実性が続いている

日本経済が直面するマクロ経済的な課題と、安倍政権が進めてきた積極的な金融緩和を背景に、円の対ドル相場は 2013 年初めと比べて 23%下落しました。日本の投資家にとって、金はポートフォリオの長期的戦略資産として有効であるだけでなく、現在の環境においてその重要性はさらに増していくでしょう(2020 Gold Outlook 参照)。

高まる金の重要性

機関投資家は、投資の分散やリスク調整後リターンの拡大を目指して、株式や債券といった伝統的資産の代わりに、オルタナティブ資産を採用するようになりました。世界の年金基金に占める非伝統的資産の割合は、1998 年の7% から 2019 年の 23%へと増えました 2 (図 1)。日本の場合、この数字は、10 年前の 7%から11%に増加しました。

この変化の受け皿となってきたのが金への投資です。主流投資先としての金の認知度は増しつつあります。このことは、世界の投資需要の中での金の成長率―2001年以降で年率平均14%―や、同期間に金価格がほぼ 4 倍に上昇したことに表れています。3

 

図 1:投資家は引き続き、金を含むオルタナティブ投資を ポートフォリオに追加*

図 1:投資家は引き続き、金を含むオルタナティブ投資を ポートフォリオに追加*

出所: ワールド ゴールド カウンシル, Willis Towers Watson; 免責事項

* 2019年12月現在

 

この成長率の背景には、次のような要因があります。

  • 新興国市場の成長: 経済発展、特に中国とインドの発展により、金の消費者基盤と投資家基盤が拡大し、多様化した(11ページの図 13および 14 ページの図 24 ダウンロード)
  • 中央銀行の需要:各国の中央銀行において、主に外貨準備の安全性と分散を確保するため、金への関心が急激に高まった。このことが他の投資家にも、投資に適した金の性質について検討することを促した(11 ページの図15ダウンロード).
  • 市 場 へ のアクセス: 金を裏付けとする ETF の誕生(2003 年)は、純金積立(GAP)の開始(1980 年代)と SPDR ゴールド・トラストの東京証券取引所へのクロス上場(2008 年 6 月)と相まって、金市場へのアクセスを促進して戦略的投資としての金に対する関心を強力に支え、保有コストを抑制し、効率性を改善してきた(11ページの図 14ダウンロード)
  • 市場リスク:世界的な金融危機によって、効果的なリスク管理が改めて注目されるとともに、相関性がなく非常に流動性の高い金などの資産の評価が高まった( 11ページの図 16 ダウンロード)。貿易摩擦、ポピュリスト政治の拡大、経済や政治の見通しに関する懸念が契機となって、投資家たちは激動期の伝統的なリスクヘッジ手段として金を再検討している (14 ページの図 25および 14 ページの 図 26ダウンロード)
  • 金融政策:持続的な低金利によって金保有の機会費用は減少しており、特に歴史的な高水準でマイナス金利が発生している債券と比較すると、真の長期的リターンを生み出す金の特性が際立っている(13 ページの図 23ダウンロード)。日本では現在、最長10 年物までの国債がマイナス金利で取引されている

金の戦略的役割

金は明らかに、株式や債券、分散ポートフォリオを補完します。富を蓄積する手段として、またシステミックリスクや通貨の下落、インフレのヘッジ手段として、金は歴史的にポートフォリオのリスク調整後リターンを改善し、プラスのリターンを実現し、市場ストレス時に債務を返済するための流動性を提供してきました。

日本では長年にわたる積極的な金融緩和と、好ましくない人口構成や低成長が助長する理想的とは言えない財政状況の影響で、国内外の資産のリターンが減少し、円や国債が受ける逆風が強まっています。こうした環境下で、金は今後、優れた資産蓄積手段やリターンの源として、より重要な役割を果たすでしょう。

1. リターンの源

金は昔から、不確実な時代に利益をもたらす資産と見なされています。歴史的に、好況時にも不況時にも、長期的にプラスのリターンを生み出してきました。これまでの約半世紀を振り返ってみると、ブレトン・ウッズ体制が崩壊した1971年以降、金の円建て価格は年率平均 8.4%のペースで上昇しました 。4 この期間の金の長期リターンは日本の株式に匹敵し、日本国債を上回りました。5 ここ20 年の金のパフォーマンスは、他の主要資産クラスも上回っています(図 2 および 12 ページの 図 17 ダウンロード)。

金は長期的に資産を守り増やすために利用されるとともに、交換手段として機能します。これは金の価値が世界的に認められていて、誰の債務でもないからです。金にはまた、世界中の消費者が評価する贅沢品としての需要があります。そしてエレクトロニクス製品の重要な構成部品でもあります7 。このような多種多様な需要の源が、金に際立ったレジリエンス、すなわち好況時にも不況時にも確かなリターンを実現するポテンシャルを与えています (フォーカス1)

 

図 2:金は主要な資産クラスをパフォーマンスで上回り、長期的にはプラスのリターンを実現

図 2:金は主要な資産クラスをパフォーマンスで上回り、長期的にはプラスのリターンを実現

主な世界的資産の円建て年間平均リターン*

出所: ブルームバーグ, ICEベンチマーク・アドミニストレーション, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

* 2019年12月31日現在。以下の指数をもとにトータルリターンを円建てで算出:JPモルガン・キャッシュ指数、日本円1カ月金利指数、JPモルガンGBI日本指数(ヘッジ なし)、MSCI日本指数トータルリターン、MSCIコクサイ、MSCI新興国指数、ブルームバーグ商品指数、LBMA金価格午後決め値(スポット)。年複利リターンは12ペー ジの図17を参照。

 

インフレに勝ち、デフレと戦う

金は昔からインフレの防衛手段と見なされており、この点はデータも裏付けています。アベノミクスが実行された 7年間(2013 ~ 2019 年)の金の円建て平均複利リターンは1.9%で、同期間の年平均インフレ率 1.06%を上回りました。さらに遡ると、1971 年以降の金の円建て年間平均リターンは 8.4%で、日本の消費者物価指数(CPI)の上昇率も上回りました。

また、金は極端なインフレからも投資家を保護します。インフレ率が 3%を超えた年の金価格は平均 28%上昇しました(図 3)。つまり金は長期的に、資本を守るだけでなく増やすことにも寄与してきたのです。

さらに注目すべきこととして、オックスフォード・エコノミクスの調査によれば、金はデフレ下でも堅調な推移が期待できます8 。デフレ期の特徴として、低金利、消費や投資の低迷、金融ストレスがありますが、これらはすべて金の需要を押し上げる傾向があります。

 

図 3:歴史的に、金はインフレ率が高い時期に上昇

図 3:歴史的に、金はインフレ率が高い時期に上昇

金の円建てリターンと年間インフレ率*

出所: ブルームバーグ, ICEベンチマーク・アドミニストレーション, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

** 1971~2019年のLBMA金価格と日本のCPIの前年同期比変化に基づく。

** 対象各年について、実質リターン=(1+名目リターン)/ (1+物価上昇率)-1。

 

不換通貨を上回るパフォーマンス

金保有の機会費用に対する認識に影響を与える長引く低金利やドルの見通しに対する懸念は、投資家の需要を押し上げてきました。

歴史的に、主要通貨の交換レートは金価格に合わせて固定されていました。しかし1971 年にブレトン・ウッズ体制が崩壊して状況が変化します。それ以降、交換手段としての金のパフォーマンスはすべての主要通貨を大きく上回ってきました(図 4)

金の優れたパフォーマンスは、金本位制の終了直後と、その後に主要経済国が債務不履行に陥った時期に特に際立ちました。この堅調なパフォーマンスを支えた重要な要素の1つは、金の長期的な供給量の伸びが、過去 20 年で年率約 1.6%と、ほとんど変わらなかったことです9 。これとは対照的に、不換通貨は金融政策を支えるために無限に発行することが可能で、その典型例が、世界的な金融危機後の量的緩和策です。例えば、日本銀行は現在日本国債の約 50%を保有しており、刺激しようとする自国経済の規模を超える資産を、世界でも最も早く持つようになった中央銀行の1つです。2012 年 12 月に国内総生産(GDP)比 32%だった日本銀行の資産残高は、7年間のアベノミクスを経て、2019 年 12 月には GDP 比103%に増加しました。

 

図 4:金の長期的パフォーマンスはすべての主要不換通貨を上回る

図 4:金の長期的パフォーマンスはすべての主要不換通貨を上回る

1900年以降の主要通貨と金の相対的価値*

出所: ブルームバーグ, ハロルド・マルクーゼ(米カリフォルニア大学サンタバーバラ校), ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

** 2019年12月31日現在。金価格に対する、各通貨の年間平均価格に基づく。

** 「マルク」は旧ドイツ帝国の通貨。元々は金マルクと呼ばれ、1914年までは金本位通貨だった。以後は、紙幣マルクと呼ばれた。

 

2. 有効な分散投資

有効な手段を見つけることは簡単ではありません。市場の不透明性が増し、変動幅が顕著になるにつれ、リスクオン/リスクオフの投資判断を一因として、多くの資産では相関性が高まります。その結果、いわゆる分散手段の多くは、肝心なときに投資家のポートフォリオを守ることができません。

その点、金は異なっていて、株式やその他のリスク資産が売却される局面で、これらとの負の相関性が高まります(14 ページの図 26ダウンロード。2008 ~ 2009 年の金融危機は、まさにその例です。株式や他のリスク資産の価値は暴落し、ヘッジファンド、不動産、そして長年ポートフォリオの分散手段と見なされてきた商品の大半も同じでした。例えば、TOPIX は 2007 年 12 月から 2009 年 2 月まで に 28%下落しました。これとは対照的に金は持ちこたえ、同期間に金の円建て価格は 8%上昇しました10

この堅調なパフォーマンスも、驚くことではないかもしれません。

リスクが高まるとき、金は一貫して「質への逃避」の流れの恩恵を受けてきたのです。システミックリスク発生時、金はプラスのリターンを生み出して全体的なポートフォリオの損失を軽減するため、特に有効です(14 ページの図 25ダウンロード 。さらに、投資家のポートフォリオの中で流動性の低い資産が売却しにくいとき、過小評価されているとき、不適正な価値をつけられたときに、金を売却することに11,12

金は、安全な避難先資産として円も補完します。円はこれまでのところ、日本の投資家による海外にある資本の本国送還と、外国人投資家による危機時の円キャリートレードの巻き戻しによって、信頼できる安全な避難先であることが証明されています。しかし日本が直面するマクロ経済的課題が増加し、金融・財政政策に対する制約が厳しくなっていることから、投資家はもはや、安全な避難先としての円の性質に満足しているわけにはいきません。こうした環境のもと、日本の投資家のポートフォリオの中で、金が果たす安全な避難先資産としての役割はますます重要になっています。 

しかし金と他資産の相関性は、激動期に投資家の役に立つだけではありません。ポジティブな市場においては、株式やその他のリスク資産との正の相関性を生み出す場合もあります。

この二面的な利点は、投資資産と贅沢品という金の二面性によってもたらされます。このような性質を持つ金の長期的な価格は、所得の拡大に支えられます。ワールド ゴールド カウンシルの分析も、世界的な株価上昇局面で、株価と金の相関性が高まる可能性があることを裏付けています (図5)。これは、金の消費者需要を支える富の増加による効果に加えて、インフレ率上昇が見込まれる場合の防衛策を求める投資家の需要が理由だと考えられます。

 

図 5:金と株式の相関性は、好況時も不況時もポートフォリオの分散に貢献

図 5:金と株式の相関性は、好況時も不況時も ポートフォリオの分散に貢献

の株式市場の様々な環境における、金と日本株式の リターンの相関

出所: ブルームバーグ, ICEベンチマーク・アドミニストレーション, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

* 1971年1月~2019年12月の円建て週次リターンに基づく。 上の棒グラフはMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスの 週次リターンが2標準偏差(‘σ’)を超えて上昇した場合の相関係数。 中間の棒グラフは対象全期間の無条件下の相関係数。 下の棒グラフはMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスの 週次リターンが2標準偏差(‘σ’)を超えて下落した場合の相関係数。

 

3. 厚みと流動性がある市場

金市場は大きく、世界規模で、流動性に優れています。

ワールド ゴールド カウンシルの試算によると、投資家と中央銀行が保有している金現物は約 403 兆円相当で、これに加えて証券取引所や相対取引されているデリバティブの建玉残高が 98 兆円です13

また金市場は主な金融市場、例えば日本株式、ドイツ国債、ユーロ/円、ダウ平均株価よりも流動性が高く、その一方で売買高は S&P 500 に匹敵します(図 6。金の売買高は、2019 年の日次平均で 16 兆円でした。同じ期間の相対スポット取引とデリバティブ契約は 8 兆 5,000 億円で、世界各国の取引所で取引される金先物の日次売買高は 7 億 1,000 億円でした。また、世界では金を裏付けとするETFが1日当たり平均 2,180 億円取引されており、これによって流動性はさらに高まります。

このように市場に規模と厚みがあるために、大規模な長期保有投資を行う機関投資家を、余裕を持って受け入れられます。多くの金融市場との著しい違いとして、金の流動性は深刻な金融ストレスの状況下でも枯渇することはありません。

 

図 6:金の売買高は多くの主要金融資産を上回る

図 6:金の売買高は多くの主要金融資産を上回る

平均日次売買高(単位:円)*

出所: ブルームバーグ, Bank for International Settlements, イギリス債務管理庁(DMO), ドイツ金融庁, 日本証券業協会, London Bullion Market Association, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

** 2019年12月31日時点の1年間の平均売買高の推定値に基づく。 ただしデータ入手の問題から、通貨は2019年3月の売買高に基づく。

** 金の流動性には、相対取引(OTC)の推定値、先物取引と金を裏付け とするETPに関する公表データを含む。分析手法の詳細は、 Goldhub.comのLiquidity dataセクションを参照。

 

4. ポートフォリオのパフォーマンスの強化

トフォリオ全体のパフォーマンスに寄与します。これらを考え合わせると、ポートフォリオに金を追加することにより、そのリスク調整後リターンを大いに強化できる可能性があります。

ワールド ゴールド カウンシルが分析した過去 2 年、5 年、 10 年、20 年の投資パフォーマンスは、機関投資家のポートフォリオに対する金のプラスのインパクトを明らかにしています。この分析によると、日本の平均的な年金基金がポートフォリオに金を 2.5%、7.5%、10%組み入れていれば、リスク調整後リターンが上昇したでしょう(図 7) および(表 1)。このプラスのインパクトは、世界的な金融危機以降、特に顕著です。

将来に向けて、この傾向はさらに強まります。ワールド ゴールド カウンシルの分析によると、日本円ベースの投資家は、十分に分散したポートフォリオの 2 ~10%を金に割り当てることでパフォーマンスを大いに強化し、その恩恵を得られます(図 8a).14

それぞれの資産アロケーション判断によって、金の組み入れ量は変化します。しかし大まかに言って、ポートフォリオの抱えるリスクが、変動幅、流動性、資産の集中のいずれの意味であれ高いほど、リスクを相殺するために必要な金の組み入れ量が、分析の範囲内において多くなります(図 8b)。

ワールド ゴールド カウンシルの分析は、たとえ投資家が想定する金の年間リターンが過去の長期的実績を大きく下回る 2 ~ 4%だったとしても、架空のポートフォリオに組み入れる金の最適比率が統計的に有意であることを示唆します。

このことは、インフレ連動債などの他のインフレヘッジ資産をすでに保有している投資家のほか15 、不動産、プライベートエクイティ、ヘッジファンドなどのオルタナティブ資産をすでに 保有している投資家についても同様に当てはまります 16

 

図 7:架空の平均的な年金基金ポートフォリオに、過去10年間、金を組み入れると、リスク調整後リターンが上昇

図 7:架空の平均的な年金基金ポートフォリオに、 過去10年間、金を組み入れると、リスク調整後リターンが上昇

架空の日本の平均的な年金基金ポートフォリオに 金を組み入れる/組み入れない場合のパフォーマンス*

出所: ブルームバーグ, ICEベンチマーク・アドミニストレーション, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

* リスク調整後リターンとは、ポートフォリオのリターンを年率換算した変動 幅で除したものであり、2009年12月31日~2019年12月31日の円建て トータルリターン指数と以下のベンチマークに基づく。想定した平均ポート フォリオの資産構成は、企業年金連合会が2019年1月18日に実施した調査 に基づく(2017年度のデータを使用)。資産構成は株式35%(MSCIコク サイが20%、MSCI日本指数が15%)、債券55%(JPモルガンGBI日本社 債が30%、バークレイズ・グローバル総合社債が20%、JPモルガン日本 キャッシュ・インデックスが5%)、オルタナティブ資産10%(ヘッジファ ンド・リサーチ絶対リターン指数が6%、東証のTOPIX不動産業指数が2%、 S&P上場プライベートエクイティ指数が2%)であり、円建てトータルリ ターンに基づく。金のパフォーマンスはLBMA金価格(円建て)に基づき、 2.5%、7.5%、10%の金をポートフォリオに組み入れた際には、全資産を 比例して圧縮した。

 

図 8a:金は、幅広いリスクレベルで、架空ポートフォリオのリスク調整後リターンを大幅に向上させることができる

図 8:金は、幅広いリスクレベルで、架空ポートフォリオのリスク調整後リターンを大幅に向上させることができる

(a)資産構成に基づく長期的な最適配分比率*

出所: ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

* 1999年12月~2019年12月の以下の各指数の円建て月次トータルリターンに基づく:MSCIコクサイ、MSCI日本、JPモルガンGBI日本社債、バークレイズ・ グローバル総合社債、JPモルガン日本キャッシュ・インデックス、ヘッジファンド・リサーチ絶対リターン指数、東京証券取引所、TOPIX不動産業指数、 S&P上場プライベートエクイティ指数およびLBMA金価格午後決め値。架空の各ポートフォリオの構成比は、「株式・オルタナティブ資産」と「現金・債券」の 比率。例えば、「40/60」は40%を株式、商品、ヘッジファンド、REIT、金で保有し、60%を現金と債券で保有している。分析には、ニュー・フロンティア・ アドバイザーズのリサンプリング・効率最適化法を用いた。詳細は、Efficient Asset Management: A Practical Guide to Stock Portfolio Optimization and Asset Allocation, Oxford University Press, January 2008を参照。 本レポートの最後に記載の、著作権およびその他の権利を参照。

 

図 8b:金は、幅広いリスクレベルで、架空ポートフォリオのリスク調整後リターンを大幅に向上させることができる

図 8:金は、幅広いリスクレベルで、架空ポートフォリオのリスク調整後リターンを大幅に向上させることができる

(b)架空の各ポートフォリオにおける金の配分比率と、 リスク調整後リターンを最大化する金の配分比率の範囲*

出所: ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

* 1999年12月~2019年12月の以下の各指数の円建て月次トータルリターンに基づく:MSCIコクサイ、MSCI日本、JPモルガンGBI日本社債、バークレイズ・ グローバル総合社債、JPモルガン日本キャッシュ・インデックス、ヘッジファンド・リサーチ絶対リターン指数、東京証券取引所、TOPIX不動産業指数、 S&P上場プライベートエクイティ指数およびLBMA金価格午後決め値。架空の各ポートフォリオの構成比は、「株式・オルタナティブ資産」と「現金・債券」の 比率。例えば、「40/60」は40%を株式、商品、ヘッジファンド、REIT、金で保有し、60%を現金と債券で保有している。分析には、ニュー・フロンティア・ アドバイザーズのリサンプリング・効率最適化法を用いた。詳細は、Efficient Asset Management: A Practical Guide to Stock Portfolio Optimization and Asset Allocation, Oxford University Press, January 2008を参照。 本レポートの最後に記載の、著作権およびその他の権利を参照。

 

図 9:金のパフォーマンスは、ブロードインデックスとすべての個別商品を上回る

図 9:金のパフォーマンスは、ブロードインデックスとすべての 個別商品を上回る

コモディティおよびコモディティ・インデックスの20年間のリターン

出所: ブルームバーグ, ワールド ゴールド カウンシル; 免責事項

1999年12月~2019年12月の円建て年率リターンインデックスには 以下を含む:S&P GSCIエネルギーインデックス、S&P GSCI貴金属 インデックス、S&P GSCI産業用金属インデックス、S&P GSCI非貴金属 インデックス、LBMA金午後決め値(円/オンス)。

 

表 1:金は、ポートフォリオの変動幅や減少幅を抑制することにより、様々な期間でリスク調整後リターンを上昇させる

架空の日本の平均的な年金ポートフォリオおよび同等のポートフォリオに、過去 2 年、5 年、10 年、20 年にわたり金を 7.5%組み入れた 場合の比較 *

  20 年 10 年 5 年 2 年
  金を含まない 金が 7.5% 金を含まない 金が 7.5% 金を含まない 金が 7.5% 金を含まない 金が 7.5%
年率リターン 4.5% 4.9% 6.4% 6.3% 3.9% 3.9% 3.3% 3.6%
年率変動幅 7.3% 7.1% 7.3% 7.1% 6.3% 5.9% 6.7% 6.3%
リスク調整後リターン 62% 70% 87% 89% 63% 66% 50% 56%
最大減少幅 -29% -27% -8.7% -8.1% -8.4% -8.1% -6.9% -6.2%

*      2019 年 12 月 31日現在。  想定した平均ポートフォリオの資産構成は、企業年金連合会が 2019 年 1月18 日に実施した調査に基づき(2017 年度のデータ    を使用)、図 7 で説明したもの。前掲

Source: Bloomberg, ICE Benchmark Administration, World Gold Council

 

結論

日本はかつて世界最大の金の輸入国でした。現在は正味の輸出国になっていますが、金が活躍する環境は成熟しており、再び受け入れられることは可能だと思われます。日本の今のマクロ経済的状況を踏まえると、ポートフォリオの中に金を保有することのメリットは、日本の投資家にとってさらに重要になるでしょう。

過去 20 年間で、アジアの富の増加や、世界の機関投資家のポートフォリオにおける金の役割に対する評価の高まりを反映して、世界ベースで金に対する認識は大きく変わりました。

金には、希少で流動性が高く、他資産と相関が無いという独自の特性があり、このことが、金が長期的に真の分散投資の手段になりうることを際立たせています。

投資資産でもあり贅沢品でもある金は、過去 50 年近くにわたって約 8.4%の平均リターンを実現してきました。これは株式に匹敵し、債券や商品を上回ります図 2 を参照

金には伝統的に、安全な避難先の資産としての役割があり、これは高リスクの時期に真価を発揮します。しかし金には投資資産と消費財という二面的な魅力があるため、好況時にもプラスのリターンを生み出すことができます。

長引く政治・経済の不確実性、低金利、株式市場や債券市場に対する懸念を反映し、金のこうしたパフォーマンス力学は今後も継続するでしょう(2020 Gold Outlook を参照)。

全体の結論として、円建てポートフォリオに 4 ~13% に金を追加することでパフォーマンスが目に見えて向上し、リスク調整後リターンが持続的かつ長期的に上昇しうることを分析結果が示唆しています (図 7を参照)

1架空の日本の平均的な年金基金ポートフォリオ構成の詳細は、(図 7) を参照 を参照。これに加えて、本レポートの最後に記載の著作権およびその他の権利についても参照のこと。

2Willis Towers Watson, Global Pension Assets Study 2018, February 2019 and Global Alternatives Survey 2017, July 2017. https://www.willistowerswatson.com/en-US/insights/2017/07/Global-Alternatives-Survey-2017

32019 年 12 月 31日現在。

4金本位制では金が米ドルを担保し、各国通貨の交換レートはブレトン・ウッズ体制で決定された: https://www.imf.org/external/about/histend.htm.

5その他のリターン指標と前年同期比パフォーマンスは付録を参照。 付録を参照

6Qaurumは、大きく4 種類ある金のパフォーマンスを牽引するドライバーを投資家が直感的に理解することに役立つウェブベースの数量化ツール。

710 ページの図 11を参照。

8Oxford Economics, The impact of inflation and deflation on the case for gold, July 2011.

9Goldhub.comのDemand and supply のセクションを参照。.

102008 年 12 月1日~ 2009 年 11月 30 日の LBMA 金価格午後決め値(円建て)に基づく。

11付録の図 24 を参照。

12付録の図 25 も参照。

1313 9 ページの図 10 と説明図 1、および
Goldhub.com の Holders and trends セクションを

1414 リチャード・ミショーとロバート・ミショーが開発したリサンプリング・効率最適化法に基づいて分析した。この手法は、従来通りの平均・分散モデルによる最適化に代わる強固な分析法として高く評価されている。Efficient Asset Management: A Practical Guide to Stock Portfolio Optimization and Asset Allocation , Oxford University Press, January 2008 を参照。

15Gold as a tactical inflation hedge and long-term strategic asset, July 2009.

16How gold improves alternative asset performance, Gold Investor, Volume 6, June 2014.

17参照: Gold: the most effective commodity investment, September 2019, and Gold: metal by design, currency by nature, Gold Investor, Volume 6, June 2014.

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