2016年第2四半期の金需要は前期からの流れを引き継ぎ、ETF(上場投資信託)に多額の資金が流入した一方で、価格上昇を背景に宝飾品需要が低迷しました。総需要約1,050トンのうち、投資需要が2四半期連続で最大のカテゴリーとなりました。金価格も米ドル建てで25%上昇し、上半期の上昇幅として1980年後で最高を記録しました。

投資需要は今年著しく伸びて1,063.9トンに達し、上半期として過去最高を記録しました。これは主として、欧米の投資家が個人投資家も機関投資家も地金から金貨、ETFに至るまで幅広い分野で旺盛な需要を示したからです。今年年初から数カ月は多数の要因を受けて、欧米の投資家コミュニティの目が金に向かいました。そして第2四半期には、金に対する注目がさらに高まりました。今もその最大の要因となっているのは世界の金融政策です。金の長期的な低迷が終焉を迎えたという楽観論の広がりと同様、日本と欧州のマイナス金利政策や米国の利上げペースが鈍化するという観測も投資家の金に対する強気の地合いを下支えしました。また、不確実性が高まったことも、こうした投資家心理をさらに強める結果となりました。一方、金価格の急上昇は多くの市場では宝飾品需要の下げ圧力となりました。中央銀行は第2四半期に正味76.9トンの金を購入し、年初からの正味購買量は185.1トンとなりました。前年同期の水準と比較すると、第2四半期は40%、上半期は23%の幅でそれぞれ減少しました。今年上半期は購買量が減少した一方で金価格が25%上昇したため、中央銀行の金保有高は大幅に増加しました。テクノロジー用途の金の需要は第2四半期に80.9トンとなり、前期をわずかに上回りましたが、前年同期からは3%縮小しました。代替素材への切り替えや節約を通じたコスト削減が続き、この分野の需要を圧迫しました。第2四半期の金の供給量合計は前年同期の1,041.7トンから10%増え、1,144.6トンとなりました。供給拡大の主因は、金価格が高騰したために価格に敏感な複数の市場でリサイクルが活発化したことであり、リサイクル金は前年同期から23%増加しました。