トルコは世界第4位の金消費国で、世界の消費者需要の約6%を占めています。同国の過去10年間の金消費量は年平均181トンでした。ワールド ゴールド カウンシルの推計によると、少なくとも3,500トンの金がトルコの家庭の「枕の下」に蓄えられています1。このレポートでは、バリューチェーン全体で金が果たす役割を探るとともに、トルコ経済における金の貢献度を評価していきます。

トルコの人々と金とのかかわりは豊かな文化的伝統に支えられています。金は婚礼をはじめ、さまざまな宗教行為で重要な役割を果たします。宝飾品加工業では金が取引の手段となり、勘定単位になります。トルコの金市場の中心であるグランドバザールでは、しばしば出店料が金で設定されます。また、トルコでは多くの人々が、貯蓄に際し、インフレや通貨安による損失を防ぐために金を役立ててきました。トルコの金鉱業はまだ小規模ですが、大きなポテンシャルがあります。金産出量は2001年の2トンから毎年のように増え続け、2013年には33.5トンになりました。金の可採埋蔵量は推定840トンで、資源量は最大6,500トンに上る可能性があります。金のバリューチェーンはトルコ経済に大いに貢献しています。2012年だけでも、金の加工、消費、リサイクル活動はトルコ経済に少なくとも38億米ドルをもたらしました。トルコの金融システムの中で、金は小さいながらも重要な歯車です。2013年末時点の民間銀行の金保有高は約250トン、金額にして104億米ドル4相当に達し、トルコ経済を支えてきました。これは多くの場合、投資家がトルコ・リラや外貨を金口座に変換するという形をとりました。また、政策の一環として民間銀行に預金準備の一部を金で保有することが認められています。トルコでの金に対する需要は、今後も継続される見通しです。