より堅調になった第3四半期の金需要

消費者と中央銀行による買いが増大したことで第3四半期は堅調に推移し、年初来の累計需要はコロナ前の水準に戻りました。

第 3 四半期の金需要(OTC を除く)は、前年同期比で 28%増の 1,181 トンでした。年初来の累計需要は前年同期比で 18%増加し、コロナ前のレベルに戻りました。
世界経済の悪化にもかかわらず、宝飾品消費量は 523 トンと手堅く、前年比 10%の増加となりました。年初来の累計需要は 1,454 トンで、わずかながらも堅調さを維持しました(2%増)。

第 3 四半期の投資需要(OTC を除く)は前年同期比 47%減の 124 トンで、一部の投資家に弱気が広まっていることを反映しています。金地金・金貨投資は 36%増で(351 トンに達しました)、227 トンの ETF 流出分を相殺するのには足りませんでした。OTC 需要は、ETF や先物市場における投資家心理の悪化を反映して、第 3 四半期に大きく減少しました。

中央銀行は引き続き金を積み増しており、購入量は四半期としては記録となる
400 トン近くに達したものと推定されます。

テクノロジー需要が前年同期比で 8%減少したのは、世界的な景気後退によってエレクトロニクス製品に対する消費者需要が減少したことを反映しています。

金の総供給量は若干増(前年同期比プラス 1%)の 1,215 トンでした。6 四半期連続で前年同期比が上昇した鉱山生産量は、リサイクルレベルの低下によって一部が相殺されました。

 

年初来の金需要はパンデミック前のペースに戻る

年初来の金需要はパンデミック前のペースに戻る

年初来の金需要はパンデミック前のペースに戻る
出所:メタルズ・フォーカス、リフィニティブGFMS、ワールド ゴールド カウンシル

Sources: Metals Focus, Refinitiv GFMS, World Gold Council; Disclaimer

*データは2022年9月30日現在

ハイライト

LBMA 金価格午後決め値(米ドル/オンス)は第3四半期に8%下落しました。

今期の下落は、米国連邦準備制度理事会
(FRB)がインフレの昂進に対処するために実施した政策金利の引き上げによる米ドル高への反応が主な原因となっています。ただし、第 3 四半期の金の平均価格は前年同期比で 3%の下落にとどまっており、四半期の需要(OTC を含む)と供給の相対的パフォーマンスと強く同調しています。

投資需要はさまざまな優先課題の間で分散されました

個人投資家は世界的にインフレが急進する中、価値の保全手段として金を購入しましたが、ETF 投資家は世界的な金利上昇のために運用残高を減らしました。

インドは宝飾品の世界的回復に大きく寄与しました

都市部の消費者は、経済活動がコロナ前の水準に戻ったことに後押しされて、第 3 四半期におけるインドの需要の推進役となりました。地方の消費者は、インフレの上昇が都市部を上回ったことから、より慎重な姿勢に終始しました。

ロックダウンの緩和により、中国の小売需要は堅調に推移しました。

宝飾品消費者は、主要都市でのロックダウンが緩和されたため、金価格下落の恩恵を受けました。また、現地通貨と現地株価が共に下落する中で、安全な資産としての金の魅力が個人投資家を引き付けました。