2016年通期の金需要は2%増の4,309トンとなり、2013年以来最高の水準に達しました。これは主に今後の金融政策、地政学的不確定要素、およびマイナス金利に対する懸念のため、投資家からのETF(Exchange Traded Funds)への資金流入が、史上第2位となる532トンに拡大したことによるものでした。

英国の欧州連合離脱、米国の大統領選、および中国の通貨安を中心とした、グローバルな経済と政治における不確実性が継続したため、投資需要全体は70%拡大して4年来の水準である1,561トンに達しました。11月に発生した価格下落は2016年第4四半期の金地金とコイン市場の大きな回復を引き起こしましたが、しかしこれは同年第1半期から第3四半期までの需要低迷を相殺するには至らず、年間の需要は前年比2%減の1,029トンでした。投資需要全体は大きく拡大しましたが、これは2016年には15%減の2,042トンに留まった宝飾品需要と、各国中央銀行による買い入れの両方の減少により相殺された。外貨準備高が減少した厳しい環境に各国中央銀行が置かれたことにより、2016年通期の需要は33%減の384トンとなりました。このような状況にもかかわらず、各国中央銀行による買い入れが売却を上回ったのはこれで7年連続となりました。2016年の総供給量は前年比5%増の4,571トンに達しました。欧州と中東でのリサイクルが、通貨安と金価格の上昇により高い水準に維持されたことも要因となりました。鉱山での生産高は業界でのコスト削減策のため前年からほぼ横ばいでしたが、金価格の上昇とコスト低下により今後は探査やプロジェクト開発への関心が改めて高まると予想されます